【個別銘柄】キャセイ航空(00293) 香港株式市場の考察

キャセイパシフィック航空 ロゴ2投資のしかた

はじめに

最近お騒がせのキャセイパシフィック航空(英語名:Cathay Pacific Airways Limited)についてバイ・アンド・ホールドに値する上場企業であるかどうか考察していきます。

 

キャセイ航空はどういった企業か?

キャセイ航空は香港を基盤に航空事業を展開しています。ハブ空港の一つである香港国際空港を中心に旅客事業と荷運事業を行っています。

中国共産党の一国二制度の対象となっている香港において、メインランド(中国本土)との運行は国際線と見なされており、現在の運行状況は国際線のみとなっています。

香港の外国人観光客はここ数年3,000万人前後を推移しています。これは都市ランキングで1位ですので人気の高さがうかがえます。(ちなみに香港は金融都市でもありますので、香港に訪れるビジネスマンについてもカウントされています。またハブ空港であるため経由客についてもカウントされている可能性はあります。)私はほとんど毎年香港ディズニーランドに行っていますが、香港は非常に狭い都市です。そこに全世界から観光客が押し寄せる。その往来の需要に応えている航空会社の一つがキャセイ航空なのです

キャセイパシフィックの特徴

  1. 香港国際空港を基盤に航空事業を展開
  2. 香港は外国人観光客数で世界最大
  3. その往来の需要に応えている

 

株価の推移

こちらはキャセイ航空の5年足チャートになります。2019年8月16日を起点にした52週前(1年前)の騰落率は-13.5%の下落を記録しており、現在は安値圏にあると言えます。

5年足チャートで確認すると2014年後半から2015年中頃まで高値圏にありましたが、その後、低空飛行していることがわかります。この5年間の平均株価は13.18HK$ですので、購入時には目安にされると良いでしょう。

香港ドル/円のレートは1香港$=14円前後で計算するのが分かりやすいと思います。最低購入株数は1,000株ですので、最低必要資金は150,000~160,000円となります。(本稿エントリー日で計算)

 

配当の推移

キャセイ航空の配当金額
下段:会計年度と権利落ち日
折れ線は中間および決算月の配当金額(適宜開示報告書より)
縦棒グラフは各会計年度の合計配当額

会計年度2014~2019(中間)までの実績をグラフ化しました。

サーチャージ料の増加などで2016年上期と2017年下期は無配となっていますが、それぞれの中間および期末配当は平均0.278HK$あります。為替レート14円で計算すると1株あたり3.89円になります。

グレーのグラフ:配当利回り(右軸)
各期末の終値をベースに為替レート14円で計算

権利落ち日の終値をベースに香港ドル/円の為替レート14円で計算すると、ここ5年間の配当利回りは平均1.93%となります。ちなみに無配時期を除くと平均利回りは2.94%になります。

ここまでみると、高配当銘柄とは言えません。

 

キャッシュフロー

配当の財源ともなるフリーキャッシュフロー(フリーCF)、その財源に影響を与える営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを確認してみます。

キャセイ航空のIR情報ページは中々曲者で過去のキャッシュフロー情報を探し当てるのに苦労しました…。

過去5年分をグラフ化してみると、2014年と2015年に財務CFがマイナスになっています。これは会社の資産を売却したことを表します。恐らくですが、この両年は0.36HK$、0.53HK$の配当に充てるためのフリーCFを賄うために資産売却をしたように考えられます。2016年になると無配となっていますので、ここ数年はキャセイ航空にとって逆風が強めの時期と言っていいでしょう。

 

総評

当ブログが考えるキャセイ航空(2019年8月現在)の評価は下記のとおりです。

バイ・アンド・ホールド:3.5 株価の安定性:4 配当の安定性:2
地政学的リスクの安定性:2 企業の安定性:4 期待度:5

キャセイ航空はバイ・アンド・ホールドをしていても問題がない企業であると私は考えています。しかし、2019年8月の安値圏で購入(あるいは平均株価13.18HK$前後)が前提になるでしょう。

ここ最近のキャセイ航空の株価の低迷(上場来最安値を更新)には、中国本土と香港の間で結ばれた『逃亡犯引き渡し条例』に見ることができる、中国本土の香港に対する統一圧力が原因として考えられます。連日激しいデモ抗議活動が行われていますが、いよいよ香港国際空港のターミナル内でもデモ運動が行われ、その活動をキャセイ航空の職員が扇動したとして、メインランドへの離着陸が禁止され数日のあいだ、全便欠航になったニュースは記憶に新しいところです。中国本土(中国共産党)の統一圧力、いわゆる香港侵食が旅客運行ビジネスの50%前後をメインランドの運行で占めるキャセイ航空にとって、大きな地政学的リスクと言わざるを得ません。

ただ、留意しなければいけないことがあります。この中国本土との関係については今になって始まったことではないということです。今回はキャセイ航空に中国共産党のイナズマが直撃したことは間違いないですが、中国本土に対する市民デモは何年も前から盛んにされています。今は世界の目がありますから、そう簡単に侵略行為ができるはずありません。

また、キャセイ航空は正解でも1位2位を争う国際ハブ空港である香港国際空港をメインに事業展開する強力なインフラ企業です。現地に行けば良く分かりますが、空港周辺はキャセイ航空の関連施設がぐるりと周りを囲んでおり地盤がしっかり固まっている印象を受けます。

発行済株式の40%前後を所有する英国スワイヤーグループが実質のオーナーとなりますが、この稼ぎ頭のキャセイ航空を香港から撤退させるとは考えにくいと思われます。

一種のインフラである航空事業は基本的に株価が安定している企業が多いです。特異的なイベントが起こって乱高下を繰り返し、いま安値圏にあるキャセイ航空は長い目で見れば買いなのかもしれません。

配当金額については、振れ幅が大きい企業ですので、インカムゲインを積極的に狙える銘柄かといえば、何とも説得力に欠けるかもしれませんが、運休の混乱も中国本土より許可が出て数日でリカバリーしたことを考えれば、バイ・アンド・ホールドしながら株価の動きを楽しむのも良いかもしれません。