緊張で嘔吐したことがあるぐらい極度の『あがり症』を克服した話

極度の緊張を克服した話働く

あがり症で悩んでいる方と共有したい~極度の緊張を克服した話~

あがり症とサラリーマン

キャリアを形成していく上で、プレゼンテーションやスピーチなど人前で話す作業はどうしても逃れられないものです。

どうしても、緊張して人前で話すことが出来ないサラリーマンの場合には、多くのキャリア形成の選択肢が閉ざされてしまうと言っても過言ではありません。

しかし、サラリーマンをしていると必然的にプレゼンテーションやスピーチの役目が回ってくることがあります。あがり症の人は、「失敗したらどうしよう…」「変に思われないかな…」こういった感情が込み上げてきて、自分の出番を待つ間も、手足が震えたり、急激な便意を感じたりすることがあります。いざ自分の出番になると、緊張がピークを迎え、持っているマイクが震え、レーザーポインターの焦点が合わなくなり、声が吃ってしまいます。

私自身が社畜サラリーマンとして働いて10年近くになりますが、早い段階であがり症を克服できたことは、本当にわたしの生き方それ自身を変えることになりました。

もしも、あがり症で悩んでいる方であれば、私があがり症を克服した経験を参考にして頂ければと思います。

私があがり症を克服した道のり

私のあがり症の度合い

※はじめに、私は重度のあがり症でしたので抗不安薬を服用して克服をしました。そして、現在、外資系医療機器メーカーの営業マンとして、医師や看護師など大勢を前にほとんで緊張せずプレゼンテーションができるまでに回復しています。 この記事は抗不安薬が必要ない軽度のあがり症の方にも参考になると自負しております。

過去、私は重度のあがり症でした。大学生の頃、生まれて初めてプレゼンテーションをすることになりました。プレゼンテーションの前日から極度に緊張し、夜中に激しい動悸と手足の震えを感じました。当然、一睡も出来ず、フラフラした状態で、教室の前まで来た時に、突然の嘔吐感に見舞われました。そのまま、トイレで吐き続け、気がつけば授業が始まっており無断欠席をしたのです。もう情けなくて涙が出ました。

後日、謝罪のため担当の教員を訪ねて、その日あったことを涙ながらに説明したのを今でも覚えています。本当は行きたくありませんでしたが、必須科目でしたので重い腰を上げて渋々説明に行ったのです。ひとつ救いだったのは、外国人の教員でしたので、赤の他人の私はかなり心配してくださり、心理カウンセラーに相談することを奨めてくれました。ただ、当時はそういったカウンセラーが普及しておらず、精神科を受診することにしたのです。

精神科の受診は本当にあっけないものでした。5分程度の問診のあとに「この薬を飲めば緊張しなくなるよ」と言われて、処方されたのはデバス(抗不安薬)という薬です。

こんなもので緊張しなくなるのか? 次のプレゼンテーションの機会が巡って来た時に半信半疑で服用すると、驚くことにまったく緊張せず、別人になったかのようにプレゼンテーションをし終えたのです。

しかし、服用後1時間くらいすると、とてつもない睡魔が襲ってきました。授業の後半の記憶が無かったので、意識喪失のごとく眠ってしまったようでした。(そして服用した人にしか分からない、あの謎の空腹感…)

『抗不安薬を服用して緊張を無くす』― 緊張せずプレゼンテーションができた喜びと、意識を無くしたことに対して恐怖を感じました。

この辺りから、私の抗不安薬の服用量を減らす意識をしながらの、あがり症克服の道のりが始まりました。

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抗不安薬を離脱した道のり

フェーズ1(抗不安薬の服用量を減らす努力)

抗不安薬を手にして、緊張を抑制する(正確には反射運動能力を低下させる)ことができるようになりましたが、まずは服用量を減らす努力をしました。

同時に人前で話す機会を多く得るため、あえてプレゼンテーションの多い授業を選択したのです。

その後は、2週間に1回の間隔でプレゼンテーションを行っていました。聴衆は20~30人くらいのクラスでした。発表する内容は、担当教員が事前に用意した『地球温暖化について』とか『高齢化社会』など漠然としたテーマについて、発表者が当日までに起承転結の簡単な論文を作成し、それをショートストーリーで発表するものでした。

プレゼンテーションがある日には、通常1~2錠を服用するところ、1錠を半分にカットして0.5錠を服用しました。(どうしても緊張が抑制できない場合には0,5錠~1錠を途中で服用)

まずは、人前に立つことに慣れることに意識を集中したのです。私の場合は、人前で話すこと以前に、人前に立つことに不安を感じているように思いました。ですので、プレゼンテーションの機会を設けて、抗不安薬の力を借りながら、人前で話す雰囲気に慣れていきました

フェーズ2(緊張の原因に慣れる努力)

1年ほどすると、服用量は減少しませんでしたが、人前で話すことにだいぶ慣れてきたように思いました。

それよりも、人に伝わる楽しさというものをほんの少し感じていました。そのためか、“ちゃんと伝えよう”と頑張り始めるのですが、それが緊張を増幅させてしまう不安的な時期でした。

この頃、私の教室に見るからにあがり症のクラスメートの女性がいました。直接、話をしたことはないのですが、彼女との共通点を考えていると、以下のようなことが思い当たりました。

あがり症のクラスメートとの共通点
生真面目:真剣に授業を受けている
几帳面:ノートのとりかた、手荷物が整理整頓されている

確信はありませんでしたが、私や彼女のような極度のあがり症の人間は、生真面目で慣れないことにも『完璧にやらないと…』というマインドに支配され、緊張というコントロールできない反射運動の間でもがき苦しんでいるように思えてなりませんでした。

このマインドの恐ろしいところは、

『失敗したらどうしよう』→『失敗しないようしないと』→『完璧にやるようにしよう』→【実践】→(緊張)→(緊張コントロールできない)→『上手く出来ない』→『やっぱりダメだ…』と気が付かないうちに深みにはまるところです。

あがり症が重症化する負のマインド

このマインドを克服する方法は2通りあります。

完璧マインドを克服する方法
① 練習や準備を入念して完璧な状態でやる
②『失敗してもいいや』というように、生真面目を捨てる(性格を変える)

通常は、自分に合う方を選ぶのですが、私は両方同時にやりました

※ほとんどの方は①を選ぶでしょう。②の性格を変えるのはとてもむずかしいからです。

要は、①プレゼンテーションの準備をしっかりやる(話す内容を理路整然とする)、そして発表当日は②『失敗してもいいや』という意識を持つということです。

正直に申し上げて、あがり症の方が、この対極の感情を短期間でコントロールすることは難しいですが、回数を重ねると潜在意識に刷り込まれていきます。(説明が難しいですが…)

結果的に、フェーズ1にあるように、人前で話すことには、かなり慣れてきていますから、プレゼンテーション中の話し方の調整や身振り手振りなど、より伝わるような行動ができるように、自分をコントロールできる場面が増えてきました

反復練習で相反する行動が出来るよう潜在意識に刷り込む

フェーズ3(なぜ緊張するのか理解し始める)

大学在学中は抗不安薬を完全にやめることはできませんでした。

しかし、フェーズ1~2を前向きに取り組んだことで『人前で話すこと』『プレゼン中に自分をコントロールすること』が出来るようになったことは大きな喜びと自信になりました。

その後、新卒で入社した内資系医療機器メーカーでは、プレゼンテーションをする機会に恵まれず、5年ほど時間が経過しました。多忙を極め、自分があがり症を克服しようとしていることなど忘れていました。

役職が付き始めた頃に、会議で順番に意見を言うような場面が増えてきました。この頃から、再度あの『完璧なことを言わなくちゃ…』という完璧マインドが復活します。

①入念の準備 ②失敗してもいいというマインドを再度意識し始めた時期です。

一方で、上司から何の前触れもなく「わたし君はどう思う?」と言われると、不思議にもあまり緊張せず意見が言えるのです。なるほど…このあたりから何かに気づき始めます。

緊張とは、近い将来に確実にあるイベント(不安)に対して発生するのではないかと。

 

フェーズ4(緊張の原因に脳が慣れる&薬の効果を遠ざける)

その後、1年もしない内に、今いる外資系企業医療機器メーカーに転職をしました。

そこは、これまでとは180度営業方法が異なり、来る日も来る日も、医師や看護師のカンファレンス時間にプレゼンテーションや機械説明会を行う、あがり症にとっては地獄の職場でした。

特に、入社間際の本社研修ではプレゼンテーションのトレーニングが10日間も続きました。

研修スタッフにめちゃくちゃ見られている… 間違えられない…という感覚が襲ってきたので、社会人になって初めて抗不安薬を6年ぶりに服用しました。

なんとか、研修を通過して、実際に病院での営業が始まりました。

現職は取り扱い商品が少なく、プレゼンテーションも5種類程度でした。そういったこともあり、同じ内容のプレゼンテーションを何度も何度も反復して繰り返し行える環境でした。

一番最初のプレゼンテーションは某大学病院の循環器内科の医局カンファレンスで行いました。美人の医局秘書の方が「カンファレンスが終了したら声をかけますので、ドアの前でお待ち下さい」と言って部屋の奥に消えていく姿を心臓が破裂するくらい緊張しながら見送りました。

上司も同席していましたから、流石にデビュー戦を失敗できないと、トイレに行くフリをして服用しました。

本当に薬の効果は凄いです。(6年放置していたものですが…)無事にプレゼンテーションを終えることができました。入念に予習をしていましたから、私のプレゼンの出来栄えに上司が驚いていました。あがり症さえ無ければ、自分はこんなにもプレゼンが上手なんだと感じました。

その後、病院のカンファレンスという空間に慣れるまで、無理をせず、必要なら薬を服用してプレゼンを行うことを努めました。プレゼンの内容はいつも同じです。医師からの質問のパターンもなんとなく分かってきます。医師らが何に興味があるのか、何を言えば喜び、臍を曲げるのか、形式的なイメージが慣れというカタチで出来上がってきました

この頃からの変化がとても早かったです。

抗不安薬というのは服用から30分~60分くらいが最も抑制効果が高く、その後2時間くらいかけて徐々に効果が薄れていきます。この頃、プレゼンがある3時間前に服用し、効果がほとんどなくなっただろうタイミングでプレゼンを行いました

しばらくこんなことを反復してやっていると、不思議と医局カンファレンスという、誰しもが緊張するだろう特殊な環境に置かれても、不安を感じなくなりました

そして、抗不安薬の服用がなくなりました

そうです。『人前で話す』という行動に、脳みそが過敏に反応しなくなったのです。

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フェーズ5 (現在)

現在、冒頭に説明したとおり、医局説明会や会議での発表の場面においても、極度の緊張を感じることは少なくなってきています。

ここ3年は抗不安薬の服用もしていませんが、相変わらず、毎日の勢いで医師向けのプレゼンテーションを行なっています。

私は自分が極度のあがり症で過去に抗不安薬を飲んでいたことを同僚に伝えています。みんな本当にビックリしますよ。だって、私は会社の中ではプレゼンが上手いグループに位置づけられていますから(笑)

緊張を理解する

緊張とは、普段慣れない環境に身を投じた時に生命の危機回避を行うために、意思と関係なく活動する自律神経(交感神経)が興奮状態になることです。結果的に、意思と関係なく、心拍数が増加し、動悸や手足の痺れを誘発します。

つまり、緊張を意思でコントロールするという考えは正しくありません

まずは、自分があがり症であることを自覚しすることが大切です。そして、そんな自分を嫌いにならないことです。『極度のあがり症』の方は、ためらわず、医療機関や心理カウンセラーに相談することです。精神科と聞くと、後ろめたさを感じるかもしれませんが、真面目なあがり症の人は特にそう感じてしまい、いつまでも克服できずになってしまいます。

あがり症を治す一番の方法は、プレゼンやスピーチなどの緊張を誘発する原因に慣れることです。

その原因が、あなたに危害を加えないと、何度も反復練習して潜在意識に刷り込むことが必要です。

「誰もわたしの話を真剣に聞いてないから大丈夫」というような暗示の方法は効果がほとんどないと考えています。

本当にあがり症を克服したい場合には、その原因を自身の環境に取り入れて、茨の道の進むしかないと思います

さいごに

とても辛い思いをしてきましたが、ここにあがり症を克服した人間がいます。

正確に言えば、あがり症は克服していないですが、私を緊張させる、『人前』に対して、脳を完全に慣らすことに成功したのでしょう

あがり症は本当に辛いです。その苦しみを他人に理解してもらえません。

「いやーめっちゃ緊張したー!」と言いながら、平然とプレゼンが出来る方も大勢います。それくらい、緊張に対する閾値は人それぞれ違うので共感しあうなんて出来ないのです。

緊張のせいで、キャリアを諦める方がいるのも事実です。私は大学を中退しようと真剣に考えました。ただ、本当に勿体ないです。

ですので、極度のあがり症の私、その張本人が、経験した克服までの道のりを共有したいと思い、今回のエントリーを行いました。

もしも、ご不明点などあればコメント欄より質問して頂いても結構です。

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