高配当株:JT(2914)-【第三章】日本たばこ産業についての考察:長期保有①

日本たばこ産業(JT)長期投資について株式投資

JTはバイ・アンド・ホールドに値する個別銘柄なのか

第一章、第二章を通してJTを取り巻く国内・海外事業を見てきた。

高配当株:JT(2914)-【第一章】日本たばこ産業についての考察:国内事業
日本たばこ産業(JT)に投資をしようか検討している方向けです。 この記事はJTの日本国内事業の先行きをタバコの需要を確認しながら解説していきます。
高配当株:JT(2914)-【第二章】日本たばこ産業についての考察:海外事業
世界のたばこ市場について理解しよう第一章では国内葉たばこ業界について考察を行った。減りゆく国内葉たばこ事業であるが、海外での需要はどうだろうか。2016年の世界葉たばこ消費量は約5.7兆本であったと報告されている。世界での葉たばこ消費量に関

それでは、JTはバイ・アンド・ホールドしても良い個別銘柄なのか考察しよう。
下記に同社のこれまでの配当実績を示す

アベノミクスにより日経平均株価が上昇を開始した2012年頃から年間1株配当および配当性向は上昇している。
では、キャッシュフロー(以下CF)の推移はどうだろうか。

当サイトで各年の営業CF、投資(CF)、フリー(CF)を調べグラフ化した。

株主還元に使用することができるフリーCFは2015年までは順調である。しかし、2016年にはグラフで見ると毀損していることが分かる。この年に一体何があったのだろうか。

JTの投資CFの中で割合が大きいものは海外M&Aで計上される投資費用である。

2016年には米国レイノルズアメリカン社のたばこ事業を約6000億円で買収、2017年にはフィリピンのマイティー社とインドネシアのマハディカ社など合わせて3000億円近く計上している。そのため、グラフでは両年で投資CFが大きくマイナスとなっている。

ここ数年は逆境か

2016-17年の2年間を見ると、配当の原資となるフリーCFは順調とは言えない。
これを投資家はどう受け止めるべきなのか。
第一章で考察したとおり、国内でのたばこ事業は斜陽傾向にあると言って良いだろう。
JTに残された道は発展途上国でのマーケットシェアおよび有名ブランドの保有数拡大だ。
そのための近道がM&AであることはJTのアニュアルレポートからも幾多と知ることができる。フィリップ・モリス・インターナショナルやブリティッシュ・アメリカン・タバコは世界200カ国に販売網を持っている。一方でJTは130カ国前後であり、今後も大規模M&Aによって勢力拡大が続く可能性は高い。
長期保有投資家は2018-20年度のこのフリーCFの動きに注視が必要である。
マイナス層で推移するならば減配の可能性が高い。しかし、海外事業M&A後のランチアップには時間がかかるため、過敏に反応することは避けたい。

フリーCF 3000億円が焦点か

下図はJTの公開株式数である。
2018年度の年間1株配当は150円を予想しており、その原資には3000億円が必要となる。
同年度の決算レポートではフリーCFが3000億円を回復する見込みと説明がされている。今後プラス層で3000億円前後を推移するならば5%前後の年間配当を享受できるだろう。

今後のたばこ増税でJTはどうなる

2018年10月にたばこ増税が実施された。いよいよ1箱500円の時代に突入したのだ。
国内のたばこ事業を司るたばこ事業法所管の財務省は今後も継続的なたばこ増税を予定している。
JTを保有しようか検討している投資家の中には、この増税を気に病んでいる方も少なくはなかろう。
しかし、実のところ、たばこ増税はJTの国内たばこ事業に対してキャッシュの面では逆風になっていない。
下図は2010年と2014年のたばこ増税後の国内たばこ事業売上、税抜営業利益、販売本数、そして例としてセブンスターの定価をグラフにまとめた。

ここからなにが分かるか
・赤丸印の増税翌年に販売本数は10~19%前後減少している
・増税という名目であるが、JTの利益分が上乗せされており、売上は微減に留まる
・一方で、利益幅上昇に伴い税抜き営業利益は増加している

勿論のこと、プレーヤーであるJTやPM、BATなどはたばこ増税にネガティブな立場をとっている。
しかし、『増税により喫煙者数は減少するが、税収は増加する』というフレーズは世界中の経済学者の中では当然の事実だ。
一投資家として、今後も定期的な増税により、半ば強制的なキャッシュフローの創生を行ってもらいたいと考える。

第三章の終わりに

この章も話が長くなってきたから、ここで締めることにしよう。
JTを取り巻く環境や、バイ・アンド・ホールドの見極めの参考になれば幸いだ。
次章ではコンクルージョン(結論)として、筆者のJTに対するバイ・アンド・ホールドの考えを紹介したい。

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