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高配当株:JT(2914)-【第二章】日本たばこ産業についての考察:海外事業

日本たばこ産業(JT)海外事業について国内株式

世界のたばこ市場について理解しよう

第一章では国内葉たばこ業界について考察を行った。

減りゆく国内葉たばこ事業であるが、海外での需要はどうだろうか。

2016年の世界葉たばこ消費量は約5.7兆本であったと報告されている。
世界での葉たばこ消費量に関しても欧州や欧米を中心とした減煙政策により減少傾向にあるが、発展途上国での需要が下支えしており、日本国内の様子とは異なる。

ここで、下記に消費国の割合を示す。

そもそも、日本国内の消費割合は3%に過ぎず、実のところ国内需要ばかり注視をしていても意味がなさそうだ。注目すべきは圧倒的に中国での需要が高いことだ。次いでロシア、インドネシア、アメリカが並ぶ。
表にあるHDIとは人間開発指数のことであり、簡単に説明するならば、より先進国であれば良い平均寿命、高い収入と教育が得られ、途上国であればその逆となる。そういったランキングと考えれば良い。途上国や発展途上国での葉たばこ需要は年々増加している。一方で先進国になると減少する傾向が見られる。
(出典:Euromonitor International. “Passport Database.” London, UK, 2017)

JTは海外たばこ事業の柱はM&A(企業買収)

国別消費量で見て分かるように、マーケットの大きい、中国・インドネシア・ロシアでの活動が売上げのコアになることは明白だ。
JTの海外戦略の骨太方針は現地のたばこ製造メーカーと流通業者の買収(M&A)の実施である。
では、上記3カ国での近年の状況はどうだろうか。

【中国での販売活動(中国煙草総公司)】
世界中に販売網を持つJTであるが、中国では活動を行っていない。
国家煙草専売局の管轄の下で中国煙草総公司という共産党国有企業が専売を行っている。強固な岩盤規制があり、排他的なマーケットとなっている。葉たばこ世界需要の40%を占めるマーケットであり、その利益や配当が国家予算となっているようだ。(2016年度会計の同社売上は17兆円を超えており、マーケットの大きさがずば抜けている。) 将来的にJTが中国進出という吉報が待たれる状態だ。

【インドネシアでの販売活動(カリヤディビア マハディカ)】
2017年にインドネシアで6番目に規模の大きい葉たばこ製造メーカー:カリヤディビア マハディカを買収している。また同時に、同社製品の流通業者:スーリヤ ムスティカ ヌサンタラについても同様だ。インドネシアは国別の葉たばこ需要では中国に次いで大きなマーケットだ。人口増加が進む発展途上国であり暫くはJTに大きな利益を齎すだろう。
実際にインドネシアやイランなど東南アジア-中東にかけての発展途上国の2018年7-9月期の対前年比は販売数量で+18.8%(383億本→455億本)、自社たばこ製品売上収益で+10.4%($1,013百万→$1,118百万)と伸長している。 (出典:日本たばこ産業-2018 年 12 月期 第 3 四半期 決算レポート)

【ロシアでの販売活動(ドンスコイタバック)】
2018年にロシアで3番手であったドンスコイタバック社を買収している。同社はロシアに於いて9.5%のシェアを持っている。買収後の情報は僅少であるが、ロシア含むCIS(独立国家共同体)の2018年7-9月期の 販売数量は+5.6%(362億本→382億本)、自社たばこ製品売上収益は+11.9%($708百万→$792百万)となっている。また、ロシアでの葉たばこシェアは2018年6月期の対前年比で+1.2%(32.5%→33.6%)であった。JTIではロシアでの買収が追い風になったと説明する。
(出典:日本たばこ産業-2018 年 12 月期 第 3 四半期 決算レポート)

国内たばこ事業は劣勢が続くものの、海外たばこ事業は”今のところ”順調

国内たばこ事業は劣勢が続くものの、海外たばこ事業は順調である。
2018年度では連結売上高で前年比+2.4%を見込んでいる。既に連結売上高2兆円規模の企業であり健闘していると言えよう。今回は「たばこ事業」に焦点を合わせているため、触れはしないが、国内事業には医薬品事業と加工食品事業がある。医薬品事業については考察を加える価値があるため、またの機会を持ちたい。

(出典:日本たばこ産業-2018 年 12 月期 第 3 四半期 決算レポート)

JTの海外戦略は今後も順風満帆なのか

JTの海外たばこ事業が今後も順調に進むかと言えば大きなクエッションマークが浮かんでくる。
何故なら、たばこの需要は高度成長期に爆発的に増加し、経済が成熟すると頭打ちしやすい傾向にあると言われている。これは、人々の不可分所得が贅沢品にシフトするからだ。一方で、経済的に満たされると環境面での規制が始まる。所謂、公害対策だ。更に、経済成長期に人口が増加すれば国政予算も増す。健康増進の名の下にたばこへの課税が増し、消費量を減少させる効果を生じさせる。(消費量減少≠売上減少でないことは次章で説明しよう。)
また、JTが近年「時間をカネで買う」と言わんばかりに進めている大規模M&Aで計上する巨額ののれん代についても、有利子負債としてのしかかってくる。
更に世界的なトレンドとして「低健康リスクたばこ」RRP(Reduced-Risk Products)への移行が加速している。同社のプルームテック™(Ploomtech™)はアイコス™(IQOS™)と比べて認知度が低く出遅れ感が否めない。

果たしてのJTはバイ・アンド・ホールドに好ましい銘柄なのか?
第三章ではJT株の長期保有について考察を行う。

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