今回は、日本の通信インフラを支える超大型銘柄「NTT(日本電信電話・9432)」をテーマにお届けします。
「高配当株ってどれが安心なの?」
「ずっと持ってていい銘柄、探してる」
「最近のNTT、株式分割の後どうなってるの?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、NTTがなぜ「配当狙いの長期投資」に最適なのか、解説していきます。
総合評価
評価項目 | 点数 | 評価ポイント |
---|---|---|
① 配当利回り | 7 | 配当利回りは約2.5%台(2025年3月期予想で1株あたり115円)。 東証プライムの平均をやや上回る水準で安定性も高い。 |
② 財務体質 | 9 | 自己資本比率 ≈ 40%、ROE ≈ 12%、ネットDEレシオも許容範囲。 CFも潤沢で、格付けも高く、非常に良好。 |
③ 値上がり余地 | 6 | 成長はマイルド。低ボラティリティ銘柄のため、急騰は期待しづらいが、AI・データセンター需要で中長期成長余地あり。 |
④ 時価総額 | 10 | 約18兆円(2025年5月時点)、日本株の中でトップクラス。 流動性・安定性・指数への影響も大きい。 |
⑤ 株主還元 | 9 | 自社株買いと増配を継続。総還元性向100%超。株主重視の姿勢は非常に強い。 |
⑥ 割安度 | 8 | PER ≈ 11倍、PBR ≈ 1.5倍。安定収益型の大型株としては依然割安感がある。 |
2025年5月の同社の配当利回り、自己資本比率、株価変動率(3期平均)、時価総額、配当性向、PER(3期平均・業界比)を考慮して算定しています。スコアが0のものは算定不可または業種により算定対象外としています。
関連記事:高配当投資で資産形成!初心者〜中級者向けのおすすめ日本株10選+α
NTTってどんな会社?
NTTの特徴まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
企業名 | 日本電信電話株式会社(NTT) |
証券コード | 9432 |
業種 | 情報・通信業 |
事業内容 | 通信インフラ、クラウド、データセンター、海外ITサービス等 |
売上規模 | 約13兆円超(連結) |
時価総額 | 約15兆円(2025年5月時点) |
財務体質 | 安定(自己資本比率40%台、営業CF豊富) |
配当利回り | 約2.5%前後(2025年見込み) |
配当方針 | 安定配当+DOE(株主資本配当率)重視 |
成長性 | 国内は成熟、海外IT事業(NTTデータ等)で成長狙う |
株主還元 | 増配傾向+自己株買いあり(株式分割も実施) |
株価推移 | 長期で堅調、分割後も個人投資家の人気高 |
割安度 | PER 11〜13倍台でやや割安(業界平均比) |
リスク要因 | 国内通信規制、政治・政策リスク、海外事業の競争激化 |
NTTといえば、元は「日本電信電話公社」。1985年に民営化されてからは、NTTドコモ、NTT東日本・西日本、NTTコミュニケーションズなどを傘下に持つ「通信業界の重鎮」です。
国内外での通信事業はもちろん、最近ではクラウドやIoT、次世代通信規格「IOWN(アイオン)」など、デジタルインフラの未来を担う成長戦略も注目を集めています。
NTTが高配当銘柄として注目される3つの理由
業績が安定している
NTTの事業は、人々の生活インフラに直結するもの。景気の波に左右されにくく、売上も利益も大きく崩れにくいのが特徴です。
実際、直近の2025年3月期の連結売上は約13.7兆円、営業利益も1.6兆円以上を維持しています。まさに日本の巨大企業の代表格ですね。
配当利回りが高い
2025年5月時点の株価(153円)に対して、予想配当は年間5.2〜5.4円。利回りでいうと3.3〜3.4%前後。日本株の中でもかなり魅力的な水準です。
さらに、NTTは株式分割を繰り返しており、今では1単元=約1.5万円で購入可能。これにより、少額投資家でも手が出しやすくなったのも大きなポイント。
継続保有でdポイントがもらえる株主優待
NTTは株主優待も実施しており、2年以上保有すれば1,500ポイント(=1,500円相当)のdポイントがもらえます。5年以上なら3,000ポイント。配当+優待での実質利回りはさらにアップします。
業績・配当の推移(過去5期+予想)
NTTの売上・営業利益・配当の推移を以下の表で整理してみました。
決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株配当(円) |
---|---|---|---|---|
2022年3月期 | 12,156,447 | 1,768,593 | 1,181,083 | 4.6 |
2023年3月期 | 13,136,194 | 1,828,986 | 1,213,116 | 4.8 |
2024年3月期 | 13,374,569 | 1,922,910 | 1,279,521 | 5.1 |
2025年3月期 | 13,704,727 | 1,649,571 | 1,000,016 | 5.2 |
2026年3月期(予想) | 14,190,000 | 1,770,000 | 1,040,000 | 5.2〜5.4 |
今後の見通しについては、会社四季報でより詳しい情報が得られます。
株価と配当利回りの現状
2025年5月9日時点の株価は153.8円。
これをベースに計算すると、今期の予想配当利回りは3.38%。これは、東証プライム市場の中でもトップクラスの高配当利回りです。
さらに言えば、NTTは自己株買いにも積極的。2023年には大規模な株式分割(1:25)も行い、株主還元の姿勢が非常に強い企業でもあります。
長期で見た時の成長性は?
成長性で注目したいのは、次世代技術「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」への取り組みです。
これは、現在のインターネット構造を根本から見直す光ベースの通信ネットワーク技術。
NTTはこれを通じて、データセンターや5G/6G、スマートシティ領域まで展開を広げようとしています。
また、海外IT企業の買収や提携も進んでおり、「日本国内だけでは成長が限界」と言われる通信業界の中で、グローバル展開を本気で進めている姿勢が伺えます。
キャッシュフローから見るNTTの配当評価(2024年度)
NTTの配当は、以下の点から非常に健全かつ持続性の高いものと評価できます。
- 営業キャッシュフローが強固で安定している
- 設備投資後のフリーキャッシュフローにも十分余裕がある
- 配当金総額はFCFの半分程度で健全な範囲
- 自社株買いも加えた総還元性向は高水準
したがって、「高い収益性とキャッシュ創出力を背景に、持続可能かつ積極的な株主還元を行っている」企業といえます。
営業キャッシュフロー(CFO)
- 2024年度実績: 約3兆1,383億円(前年比 +7.6%)
営業キャッシュフローは本業で稼ぐ資金を示し、NTTの本業が堅調であることを示しています。これは、配当の原資として健全な基盤があることを意味します。
投資キャッシュフロー(CAPEX含む)
- 設備投資(資本的支出): 約2兆3,420億円
通信インフラの維持・拡張に必要な支出として、NTTは依然として大規模な設備投資を続けていますが、営業CFの範囲内で賄えており、資金繰りには余裕があります。
フリーキャッシュフロー(FCF)
- 2024年度推定 FCF: 約7,963億円(推定値)
配当金総額との比較
- 配当金総額(2024年度): 約4,333億円
- FCFに対する配当性向(キャッシュベース): 約 54%
これは、FCFの約半分を配当に充てている水準であり、以下のような評価が可能と考えます。
- 無理のない水準
- 自己株式取得を並行して実施している点を加味しても、潤沢なCFを背景にした余裕ある配当政策
自己株式取得も含めた総還元性向
- 2024年度は1.4兆円規模の自社株買いも実施(2023年度からの継続分含む)
- 総還元性向(配当+自社株買い ÷ 当期純利益)は100%超
NTTは、現金創出力に自信があるため、配当と自社株買いの“ハイブリッド還元”を積極的に行っています。
投資初心者でも持ちやすい理由
- 株価が1単元約1.5万円と安い(分割後)
- 業績・配当が安定していて売られにくい
- 株主優待(dポイント)がある
- 長期保有するほどお得
「最初の日本株」「老後資金のためのインカム狙い」にも、NTTは非常に相性が良いです。
こんな人におすすめ!
- 高配当・優待で配当生活を目指す人
- 株初心者でまずは安心感のある銘柄を選びたい人
- 通信インフラや次世代技術に長期的に期待している人
まとめ:NTTは「日本の通信王」から「次世代ICT企業」へ進化中!
NTTは、過去から今にかけて、日本の通信インフラを支え続けてきた巨大企業です。今もその地盤は強固ですが、未来に向けてはIOWN・クラウド・海外戦略といった次の成長の芽にも力を注いでいます。
そんなNTTを、分割後の小口株主としてコツコツ積み上げるのは非常に有効な戦略です。
安定性・配当利回り・成長性――そのバランスがとれた数少ない銘柄の1つと言えるでしょう。
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