IG証券のノックアウト・オプションは、投資で発生しうる損失を限定的にするためのリスク管理に特化したオプション取引です。
IG証券ではCFDという方法でトレードを行いますので、証拠金額に応じてレバレッジがかかった状態になります。必要最低限の証拠金額でトレードを行う場合でも、ノックアウト・オプションを利用することで、予想外の損失を防ぎつつ、利益を狙うこともできます。
この記事ではIG証券で利用できるノックアウト・オプションについての基本情報や活用方法について解説します。
IG証券の利用方法は 【IG証券】口座開設から取引までの手順、メリットやデメリットも分かりやすく解説する をご覧下さい。
IG証券のノックアウト・オプションの基本情報
ノックアウト・オプションは、IG証券が提供する金融商品で、リスクが限定されたオプション取引です。
この商品は、原資産価格と連動して変動し、事前に設定したノックアウト価格に達すると自動的にポジションが決済されます。ノックアウト価格と売買額は任意で選択できるため、最大損失額を自身でコントロールすることができる特徴があります。
ノックアウト・オプションの仕組み
ノックアウト・オプションは、価格が上昇トレンドでも、下落トレンドでも取引することができます。
原資産が上昇すると予測する場合は「ブル」のノックアウト・オプションを購入し、下落すると予測する場合は「ベア」のノックアウト・オプションを購入します。
図解のように、自身が許容できる最大の損失額を決定し、それを損失ラインとして設定します。
ノックアウト価格はその損失ラインに近い位置に設定することをおすすめします。
もし原資産価格がノックアウト価格に達すると、ノックアウトが発生し、ポジションは自動決済されます。
この仕組みにより、トレーダーは許容範囲内の損失を事前に設定し、それを超える損失を回避することができます。
IG証券のノックアウト・オプションの取引例
原資産価格が4,000/1ロットの取引で、上昇の値動きを予想する場合には「ブル(上昇)」の買いポジションを保有します。
ノックアウト価格に原資産価格より下の3,900を設定すると、原資産価格との差が100pipsとなります。
pipsの差が小さいほどオプション料は安く、大きいほど高くなります。
「ノックアウト価格」とは、損切りラインとして設定される価格のことで、原資産価格に近い価格に設定するとオプション料が低くなりますが、ノックアウト(自動決済)される可能性が高まります。
反対に原資産価格から遠い価格に設定するとオプション料が高くなりますが、ノックアウトされる可能性は低くなります。
(図)
ノックアウト・オプションの必要性
IG証券のCFDでは、ノックアウト・オプションを絶対に使用する必要はありません。
ノックアウト・オプションが必要になるタイミングはいくつか考えられます。
損失を被ってしまった時の冷却期間
投資をする上ではトレンドや値動きを読み間違えることが誰しもあります。「そのうちトレンドが反転するだろう」と放置すると、ずるずると損失が拡大する可能性があります。
ノックアウト・オプションを利用することで自動決済してしまえば、損失は確定しますが一旦リセットして、改めて値動きについて考えることができるようになります。
素早く損切りすることでリターンを最大化する
損失は素早くカットして、利益をできるだけ大きくする投資スタイルは、全体の投資リターンを健全にするのに役立つ考え方です。
例えば「ノックアウト・オプションを使用して原資産のエントリー価格より5%下落したら自動決済する」といったルールを作って従うことで、損失を最小化して全体のリターンを最大化することもできるようになります。
ノックアウトオプションの魅力は、市場トレンドを精密に予測し、リスク・リターン分析に基づいて戦略的にノックアウト価格を設定できる点です。
投資家は自身の予測に基づいて適切なノックアウト価格を選択することで、リスクをコントロールしながら効果的な取引戦略を実行することができます。
IG証券のノックアウト・オプションのメリット
ノックアウト・オプションを利用することで、許容できる損失を事前に設定できるようになります。その他のメリットについても見ていきます。
スリッページ無く決済される
ノックアウト・オプションでノックアウト価格に達した場合には、保有ポジションはスリッページ無く決済されます。
ノックアウト・オプションではない、通常ポジションでは、指値注文(ストップ注文)を設定することができます。
ストップ注文が発動すると、成行でポジションが精算されます。
成行注文ですので、事前に設定した価格で必ず精算される訳ではなく、実際の約定代金と差が発生した状態になります。
値動きが激しいタイミングで決済すると、スリッページの差額が予想よりも大きくなる可能性があります。
ノックアウト・オプションではこのようなスリッページが発生しません。
損失リスクを限定できる
ノックアウト・オプションでは、取引開始時にノックアウト価格を設定することで、最大損失額を事前に定めることができます。
万が一、予想に反する値動きになった場合でも、最大損失額は事前に設定した金額ですので、リスク管理がしやすくなります。
オプション管理のしやすさ
ノックアウト・オプションはトレードが始まった後でも、ノックアウト価格に達する前に、投資家自身で決済を完了することができます。
相場状況に合わせて柔軟に対応ができる管理のしやすいオプションです。
幅広い取引対象
IG証券のノックアウト・オプションでは、株価指数(インデックス)、コモディティ、通貨ペアなど、さまざまな取引対象に投資が可能です。
これによって、IG証券のプラットフォーム内で、市場状況に応じたポートフォリオをすぐに構築できます。
IG証券のノックアウト・オプションのデメリット
ノックアウト・オプションを利用することで生じるデメリットもあります。
ノックアウト価格に達すると損失が確定する
ノックアウト・オプションを利用することで、潜在的な最大損失額を把握できる一方で、実際にノックアウト価格に達すると損失が確定することになります。
特に、予期せぬイベントで相場が急激な値動きになった場合や、ノックアウト価格の設定を間違えてしまった場合など、予想外に損失を被る可能性があります。
とはいえ、ノックアウト・オプションは予期せぬ自体に対応するためのオプションであることは理解しておくべきです。
プレミアム料が必要
ノックアウト・オプションの取引には追加のプレミアム(費用)が必要です。
プレミアムは原資産価格から近いノックアウト価格であるほど安く、遠くなるほど高くなります。
ノックアウト価格に達しずに、ブル(上昇)またはベア(下落)のポジションを手仕舞いするとプレミアムは返金されます。
トレード中にノックアウト価格を変更できない
ノックアウト・オプションの注文をする際にはノックアウト価格の設定に注意が必要です。
一度、ノックアウト・オプションを保有すると、途中でノックアウト価格を変更することはできません。
修正するにはポジションを手仕舞いする必要があるため、余計な手数料が発生する可能性があります。
ノックアウト・オプションはいつ使うのが良い?
どのようなタイミングでノックアウト・オプションが有効に使えるか見ていきます。
短期的なトレード
ノックアウト・オプションは、短期的なトレードをする際に使います。投資期間は数分から数日程度が一般的です。
これにより、投資家は市場の短期的な値動きに応じて、リスクを限定しながら素早くポジションを取ることができます。
長期投資では損切りする必要性がほとんどありませんので、短期投資との相性が良いオプションです。
ヘッジのため活用
ノックアウト・オプションは、他のポートフォリオや取引戦略のヘッジ手段としても利用できます。株式や通貨など他のリスクポジションとの組み合わせにより、全体的なリスク管理を強化することができます。
IG証券のノックアウト・オプションの評判・口コミ
ノックアウト・オプションを利用しているユーザーの評判や口コミです。
肯定的な意見、否定的な意見、メリットとデメリットが書かれていたものをまとめています。
昨日の相場はかなり値動きが激しかったからノックアウト・オプション使っていて助かった。今日また大きく下がっているから大損するところだった…(投稿日:2023年3月23日)
為替介入や金融ショックが起きたとしても、必ずノックアウト価格で損切りされるから、冒頭暴落で損失が膨らまないのはリスクを減らす一番良い方法。(投稿日:2022年11月19日)
損失を限定できるのがノックアウト・オプションの魅力だけど、ノックアウト価格を現在価格に近づけすぎて、今にも執行されそうでヒヤヒヤしてる(投稿日:2023年1月17日)
最大のデメリットは最初に設定するノックアウト価格を途中で変更できないこと。そして、指値注文の設定ができない。(投稿日:2023年4月16日)
よくある質問
『ノックアウト・オプション』と『バイナリー・オプション』の違いは?
ノックアウト・オプションは、損失を限定することができるリスク管理ツールです。事前にノックアウト価格を設定しておくことで、その価格に達するとオプションが自動的に終了します。つまり、最大損失を決めることができるオプションです。
また、上昇トレンドや下降トレンドの両方向で、ブル(上昇)、ベア(下落)を予想したオプションを保有することができます。
バイナリー・オプションは、特定の条件が満たされた場合に固定された金額を受け取るか、受け取らないかという2つの選択をするためのオプションです。リターンは固定されており、利益を得る可能性がある一方で、損失も固定されています。
特定の期間内に基礎となる資産の価格がある閾値を超えるかどうかという結果に対して取引が行われます。分かりやすい例としては、1分後の価格が原資産価格より上か下を予想して取引を行います。