CFD取引は、日米の主要な株価指数や個別株だけでなく、原油や貴金属などのコモディティ(商品)にも投資できる差金決済取引です。相場の上昇や下落に関わらず収益を追求できるため、個人投資家の人気がますます高まっています。
ただし、CFD取引を始める前に理解しておくべき重要な内容として「スプレッド」があります。
この記事では、CFD取引における「スプレッド」とは何かについて詳しく解説します。
CFDのスプレッドとは?
CFDのスプレッドを理解するために以下のポイントを抑えましょう。
スプレッドの基本情報
CFD取引のスプレッドとは、同じ銘柄の取引における、買いと売りの価格の差を指します。
買い(ASK)とは、価格が上昇することを予想して買い注文を出す場合や、保有している売りポジションを買い戻す場合の価格です。
売り(BID)とは、価格が下落することを予想して売り注文を出す場合や、すでに保有している買いポジションを売却する場合の価格です。
スプレッドとは、この2つの価格の差を意味しており、この差がCFDトレーダーにとって実際の取引コストとなります。
スプレッドの計算方法
スプレッドは、売り(BID)価格と買い(ASK)価格の差額です。一般的には以下のように計算されます。
スプレッド = 買い(ASK)価格 – 売り(BID)価格
例えば、日経225の売り価格が31,259.0円で買い価格が31,266.0円の場合、スプレッドは以下のように計算されます。
スプレッド = 31,266.0円 – 31,259.0円 = 7.0円
この場合、スプレッドは7.0円となります。
CFDブローカーの取引プラットフォームでは、下記の図のような表示になっているはずです。
例えば、1Lot(10単位)の取引であれば、スプレッドは70円となります。
(31,266.0円 – 31,259.0円)× 10 = 70円
一般的には、約定の際にスプレッド分の価格が評価額から差し引かれます。今回の例で考えると-70円の損失が発生した状態で取引が開始されることになります。
CFDブローカーごとにスプレッドが異なる
CFDのスプレッドは、全く同じ銘柄であっても、CFDブローカーごとに設定されるスプレッドが異なります。
つまり、同じ銘柄を同じタイミングでトレードする場合でも、スプレッド幅が同じではない可能性があるということです。
例えば、A社では日経225のスプレッド幅が「7.00」である一方、B社では「10.00」となる場合があります。
上記の例では、トレーダーにとって有利なのは、スプレッド幅が狭いA社になります。
ちなみに、スプレッドの大小を一般的に「幅が狭い・広い」と表現します。たまに「高い・低い(安い)」と表現するCFDブローカーもあるようです。
CFDブローカーのスプレッドを比較しながらトレードすることで、CFD取引にかかるコストを減らすことができるようになります。
関連記事:CFDのスプレッドを比較!お得なブローカーを徹底調査
コストに注目するならスプレッド幅を見る
一般的な株式投資では、売買手数料がコストとして発生しますが、CFD取引では「取引手数料が無料」と大々的にアピールしているCFDブローカーが多いです。
しかし、CFD取引においては、実際の取引手数料ではなくスプレッドが実質的なコストになることを理解しておく必要があります。
スプレッドが狭ければ狭いほど、トレーダーにとってコストが低くなります。
そのため、同じ銘柄をトレードする場合には、スプレッド幅がより狭いCFDブローカーを利用すると、トレードのパフォーマンスが改善される可能性があります。
スプレッドの種類
スプレッドには『変動型』と『固定型』の2つの種類があります。
変動型スプレッド
多くのCFDブローカーで採用されているのが変動型スプレッドです。
変動型スプレッドは、市場の条件や流動性に応じて変動するスプレッドです。
トレーダーはスプレッド幅が有利なタイミングを選んでトレードできるメリットがあります。
一方で、市場が不安定な時にはスプレッド幅が急激に広がるデメリットもあります。
固定型スプレッド
固定型スプレッドは、あらかじめ定められた固定のスプレッド幅を持つスプレッドです。
市場の変動に関係なく、取引時には常に同じスプレッドが適用されます。
市場が不安定な時にもスプレッド幅が変動しないメリットがあります。またコスト計算がしやすいことが特徴的です。
一方で、タイミングによっては変動型スプレッドの方がコストが安くなる場合もあり、コスト面で有利なトレードを選択できないデメリットがあります。
変動型と固定型スプレッドのどちらか一方が優れているということはなく、それぞれにメリットとデメリットがあります。上手く使い分ける必要があります。
CFDのスプレッドの注意点
CFDのスプレッドにはいくつかの注意点があります。
スプレッド幅の変動に注意する
変動型のスプレッドは、マーケットの流動性が高い時や値動きが安定している際には、スプレッドは狭くなる傾向があります。
一方で、重要な経済指標の発表前後や、政治イベントや重大なニュースが突然発生すると、市場の不安定性により需要と供給のバランスが崩れ、スプレッドが広くなりがちです。
これは急激な価格変動によるリスクを補うため、CFDブローカーがスプレッド幅を広げることで発生します。
スプレッド以外の優位性を確認する
スプレッドはCFDブローカーによって異なるため、トレーダーは複数のブローカーを比較することが重要です。
取引条件
取扱銘柄、最小ロット、取引単位、最大レバレッジ、スリッページの許容度などもCFDブローカーによって条件が大きく異なります。
手数料
スプレッド以外のコストとして、取引手数料、口座維持費、入出金手数料など、CFDブローカーに支払う追加のコストが発生しないか総合的なコスト比較が重要です。
取引プラットフォームの利便性
CFDブローカーが提供する取引プラットフォームや分析ツールの使いやすさ十分であるか、デモトレードや口コミを利用して確認しておくことも重要です。
まとめ
以上が、CFDのスプレッドに関する解説でした。
CFDの初心者ですと、スプレッドの概念を理解するのが難しい場合もあります。
しかし、スプレッドの狭さ・広さによって投資パフォーマンスに影響が出ることをまずは理解しましょう。
そして、スプレッドだけに注目してCFDブローカーを選ぶのではなく、トレード環境が適切であるか総合的な判断が重要です。