この記事ではCFD(差金決済取引)が長期投資に向いているかについて、当サイト(IF30)の管理人の経験をもとに解説をします。
CFD取引をする前に『投資期間』をどれくらいにするか検討することは重要です。
投資期間の定義
「投資における短期・中期・長期の期間はどれくらい?」という疑問をお持ちの読者もいると思います。
この記事では一旦下記のように定義します。
- 短期投資:デイトレードとスイングトレードに細分化
- デイトレード:数秒〜1日以内
- スイングトレード:数日から1週間以内
- 中期投資:3ヶ月〜1年程度
- 長期投資:1年以上
つまり、CFDで特定の銘柄を1年以上保有するのは有効的かどうかを結論付けます。
CFDは長期投資に向いているか?(結論)
まずは結論からお伝えします。
- CFDは長期投資でも使えるがやや不向きである
- CFDの長期投資ではファンディングコストに注意するべき
- CFDは短期投資でより使いやすいが、注意するべきポイントもある
この3つの結論を深掘りしています。
なお、少し応用編になりますが、CFDで為替変動と運用コストを最小限にした長期投資の方法も記事の最後に記載しています。
CFDは長期投資にやや不向き
私の投資の経験から、CFDは長期投資にやや不向きである理由を説明します。
CFD未経験という読者に対しては、上記のような結論になります。
CFDはNISAやiDeCoに対応していない
CFD(差金決済取引)は、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)には対応していません。
NISAやiDeCoは、一定の投資に対して税制優遇が受けられる制度ですが、CFDはこれらの枠外となります。そのため、CFDで得た利益には通常の課税が適用されます。
NISAやiDeCoを利用して税制優遇を受けたい場合は、株式現物や投資信託など、CFD以外の金融商品を選ぶ必要があります。
CFDではコストパフォーマンスが悪化する可能性も
CFDが長期投資にやや不向きである理由は、ロングポジション(買い)を保有する場合にファンディングコストと呼ばれる追加の費用が発生するためです。(ファンディングについては次項にて解説します)
CFDは別名で「差金決済取引」と呼ばれているとおり、価格変動の差額に基づいて損益が決定されます。
また、ポジションを保有する際に購入代金の全額ではなく、維持証拠金との兼ね合いで、一部は借入金を使ってトレードします。
そのため、CFDは一般的な現物取引ではないことを理解することが重要です。
CFDの長期的な信用リスクの問題
CFD取引はブローカーとの契約上の取引ですので、ブローカーの信用力が重要です。
長期間にわたってポジションを保有する場合、ブローカーが安定していて信頼性があることが求められます。
信頼性の低いブローカーを選択した場合、資金の安全性や引き出しの問題が発生する可能性があります。
CFDブローカーの信用力については、ライセンス、歴史、過去のトラブル、セキュリティ、資金の分離管理などいくつかのポイントで評価することはできます。
参考記事:CFDのリスクと対処方法【リスクマネジメントを強化せよ】
基本的に大手のCFDブローカーはセグリゲーションと呼ばれる分離口座で、トレーダーの資金を別に管理していますので安全です。
わざわざCFDを長期投資に使う理由があまりない
長期投資を成功させるポイントとして下記が考えられます。
- コストを抑える
- 分散効果を得る
- 特殊な金融商品に偏らない
- レバレッジを使わない
コストを抑える
長期投資において追加のコストを抑えることで、投資パフォーマンスの向上に繋がっていきます。
その観点で考えると、わざわざCFDではなく、投資信託やETFの長期保有がコスト削減に繋がる可能性が高いです。
分散効果を得る
長期投資において資産を分散させることはリスク回避の観点から重要です。
ほとんどのCFDブローカーでは株価指数の取り扱いがありますし、場合によっては株式以外の債券やコモディティも提供されています。
とはいえ、世界中の株価指数や債券、さらにゴールドなどの貴金属は、投資信託やETFでも提供されています。
特殊な金融商品に偏らない
投資信託やETFでは利用できない金融商品として、CFDには亜鉛、生牛、オレンジジュースなどあります。
しかし、このような特殊な金融商品は分散投資の対象にする必要はあまり無いと思います。
レバレッジを使わない
長期投資のポートフォリオを組む場合において、レバレッジは必要はありません。
それよりも配当などのインカムゲインを再投資して「複利効果」を最大化することが長期投資を成功させるポイントです。
CFDの長期投資ではファンディングコストに注意
CFDは長期投資でも使用できますが、ポジション保有中に継続的にファンディングコストが発生する場合がありますので注意が必要です。
ファンディングコストとは?
ファンディングコスト(Funding Cost)は、CFD取引において発生する費用の一つです。
このコストは未決済ポジションを翌営業日に持ち越すことで発生する場合があります。
この翌日にポジションを持ち越すことをロールオーバーと呼びます。
ファンディングコストは金利調整額に属するコストで、オーバーナイト金利や資金調達コストなどCFDブローカーによって呼ばれ方が変わったりします。
ポジションによる違いがある
ロングポジション(買い)とショートポジション(売り)によって、受払いの関係が変わることも抑えておきたいポイントです。
ロングポジション(買い)を保有している場合
一般的に、ファンディングコスト(金利)を支払うことになります。
ロングポジションでは翌営業日に持ち越す場合、借り入れた資金に対して金利を支払う必要があります。
ショートポジション(売り)を保有している場合
一般的に、ファンディングコスト(金利)を受け取ることができます。
保有しているポジションによって、資金を貸し出している状態であるため金利を得られます。
ただし、ショートポジションでも当該国の指標金利が低金利(通常2.0%未満)である場合には留意が必要です。
ショートポジションを保有することによって資金を借り入れるというメカニズムが働き、ファンディングコストが課せられる場合があります。
ファンディングコストは全ての銘柄で発生するわけではないので、各CFDブローカーの情報を確認して下さい!
関連記事:CFDの金利調整額(ファンディングコスト)とは?計算方法も徹底解説!
CFDは短期投資に向いている
ここまで解説してきた内容を踏まえると、CFDは短期投資(または数ヶ月までの中期投資)に向いている投資方法だと言えます。
ファンディングコストを抑えられる
先ほど説明したとおり、CFD取引のファンディングコストは未決済ポジションを翌営業日に持ち越すたびに発生します。
デイトレードなどの日計り取引では発生しないコストです。
レバレッジを有効活用できる
短期投資では小さな値動きで相対的に大きな利益を狙うことができるため、レバレッジを有効に使える場面は多くあります。
CFDの短期投資における注意点
CFDは短期投資に向いていますが、気をつけるべきポイントもあります。
コストだけに注目しない
CFD取引を行う際には、コストだけに注目するのではなく、投資の目的やリスク管理など総合的に考慮することが重要です。
ファンディングコストは指標金利と銘柄により異なりますが、ほとんどの場合に年率で1〜3%程度です。
年率3%の場合ですと、10万円分のポジションであれば1日8円ほどの計算になります。
どうしても短期でポジションをクローズさせる必要性はなく、中期で利益を追求できそうであれば、コストバランスを考えながら柔軟に対応するべきです。
高レバレッジに注意
CFDは短期投資に向いているため、レバレッジを活用したポジションを保有することも検討できます。
とはいえ、あまりレバレッジを高倍率にしすぎると、短期投資とはいえ大きな損失に繋がるリスクが上昇します。
CFDの短期投資においても、トレーダーのリスク許容度に応じた適切なレバレッジの活用が望ましいです。
参考記事:レバレッジとは?かけ方や変更方法を理解しよう【CFDやFXの疑問を解決】
CFDで為替ヘッジし低コストで長期投資する方法
ここまでCFDでは長期投資が不利であることを詳しく解説してきました。
しかし、以下の条件をクリアすると、一般的なネット証券のETFや投資信託よりコストを抑えて、為替変動リスクも最小化することもできます。これはやや応用編です。ご興味があれば下記の関連記事をお読み下さい。
条件:GMOクリック証券CFDで金利調整額が発生しない株価指数CFDを利用すれば、ファンディングコストの問題を解決することができます。結果的に、ETFや投資信託で発生する管理手数料よりも低コストで運用が可能になります。
より詳しい方法は以下の記事をご覧ください。
関連記事:CFDを活用して株価指数の長期投資を低コスト&為替ヘッジする方法
まとめ
CFD取引は長期投資でも活用できる投資方法ですが、ファンディングコストを確認し、投資パフォーマンスの低下に繋がらないように注意する必要があります。
また、CFD取引は短期投資に向いていることは間違いありませんが、全ての取引を短期で終わらす必要はありません。
コストバランスを考えながら、投資期間を柔軟に変更するスマートなトレードを心がけましょう。
そして、コストだけに注目するのではなく、CFDの特徴を理解してトレードに活用することが大切です。