この記事では、投資手段として用いられるCFDとETFの違いについて解説をします。
投資初心者が疑問に感じやすいポイントを項目ごとに説明していきます。
この記事を読んで頂ければ、自身のトレードに合った使い分けができるようになるはずです。
CFDとETFの概要
CFD(差金決済取引)とETF(上場投資信託)は、両方とも投資の領域で一般的に使用されるトレード方法です。
CFDとは?
CFD(Contract for Difference)は、差金決済取引とも呼ばれ、金融商品(株式、指数、通貨など)の価格変動に対する差額清算を目的とした投資方法です。
CFD取引では、実際に金融商品を所有するのではなく、価格の上昇または下降を予想して取引を行います。
この取引形式では、レバレッジを活用することが可能で、少額の資金で大きな取引を行うこともできます。
関連記事:CFDとは?差金決済取引を理解して投資の幅を広げよう!
ETFとは?
ETF(Exchange Traded Fund)は上場投資信託とも呼ばれ、特定の指数(例えばS&P500など)の動きを追跡するために設計された投資信託の一種です。
ETFは、構成銘柄と同じ比率で各銘柄を保有し、指数のパフォーマンスを再現します。
一般的な株式投資と同じイメージで投資ができます。
関連記事:ETF(上場投資信託)とは? 【ETFの仕組みを解説】
CFDとETFの違い
便利なCFDとETFですが、それぞれ以下のようなポイントで違いがあります。
取引所
CFDとETFの違いを理解する上で『取引所の違い』は重要なポイントです。
CFDはデリバティブ派生商品であり、一般的にはOTC(Over-The-Counter)市場のブローカー間で取引されます。
これは、CFDが標準化された契約ではなく、ブローカーが個別に条件を設定できるためです。
したがって、CFDは公開市場で取引されず、代わりにトレーダーとブローカー間で直接取引されます。
一方、ETFは証券取引所と呼ばれる公開市場で取引されます。
これはETFが証券として扱われているため、投資家は証券会社を通じて証券取引所からETFを売買できます。
取引所で取引されるということは、価格形成が透明で、売買を希望する全ての投資家がアクセスできるという意味です。
デリバティブ商品とは?
その価値が他の資産(株式、債券、商品、貨幣、指数など)から派生する金融商品のことを指します。デリバティブは主に、価格変動リスクを管理するツールとして使われます。
OTC市場とは?
証券取引所ではない場所で行われる金融取引のことを指します。OTC取引は、売り手と買い手が直接取引を行う形式で、大手銀行、ブローカー、金融機関などが主に関与します。
必要資金
CFDでは、レバレッジという概念が存在します。
これによりトレーダーは、商品価格の一部分に相当する必要証拠金を預けることで、全額を出資する必要がありません。つまり、CFDでは少ない資金で大きなポジションを保有することができます。
一方で、ETFを購入するには、そのETFの現在の市場価格に相当する全額を出資する必要があります。
基本的に、ETFに投資する際にはレバレッジという考え方は存在しません。
取引の方向性
CFD取引では、トレーダーは買いポジション(ロング)だけでなく、売りポジション(ショート)も取ることができます。
これは、CFDが価格の変動に対する契約であり、実際の資産の所有を伴わないためです。
一般的な株式投資では、売りからのエントリーが難しい銘柄は多数ありますが、CFDでは非常に容易に売りポジションを取ることができます。
一方、ETFは基本的に現物株を買いポジションで保有します。
信用取引を利用すれば、ETFでも売りポジションを保有することができる場合がありますが、主要な株価指数ETFを除いて、証券会社で制限があることが多いのが一般的です
取引時間
CFDはほぼ24時間取引することが可能な銘柄も存在します。
例えば、GMOクリック証券CFDの日経225は、月曜から金曜の8時から翌7時(米国夏時間は8時30分から翌6時)と長時間CFDトレードができます。
これはCFD取引が現物ではなく、買値と売値の差額を使って取引するため、CFDブローカーが取引時間を設定できるためです。
また、IG証券ではWeekend指数という独自のCFD商品を提供しており、日経平均やダウ工業などの主要な株価指数を休日にも取引することが可能です。
一方、ETFは一般的に証券取引所の営業時間内にしか取引することができません。
これは、ETFが特定の証券取引所で取引されるためです。営業時間は取引所によって異なりますが、通常は休日を除く月曜から金曜の9時から11時30分(前場)と12時30分から15時(後場)に制限されます。
手数料
CFD取引では、主な手数料はスプレッドと呼ばれるものです。
スプレッドは、CFDの買値と売値の差であり、ブローカーによって設定されます。
また、翌営業日をまたぐポジションを保有する場合にはオーバーナイト金利(金利調整額)も発生する場合があります。
CFD取引では、トレードごとの取引手数料はほとんどの場合発生しません。
一方で、ETFの手数料は一般的に管理費用と取引手数料の二つの形態があります。
管理費用はETFの運用会社が資産管理のために徴収する年間の料金です。一般的には、管理費用はETFの資産額に対して一定の割合で設定されます。
取引手数料は、ETFを購入または売却する際に支払う手数料で、利用する証券会社によって異なります。
税制
CFD取引で得られた利益は雑所得として扱われます。
特定口座が存在しないため、一定の条件を超えるとトレーダー自身が確定申告を行う必要があります。
また、損失が発生した場合には、先物取引に係る雑所得等の区分の中で損益通算します。
一方で、国内の証券会社を通じてETFに投資する場合には、特定口座を利用することができます。
特定口座であれば、投資家自身が確定申告をする必要性はありません。
ただし、ETFを使った投資で損失が発生した場合には、自身で確定申告をして損益通算をする必要があります。
また、NISAやiDeCoの対象になっているETFも多くあり、税制上の優遇も受けられます。
CFDとETFの共通点
CFDとETFには共通点もいくつかあります。
多様性(種類の豊富さ)
CFDとETFでは取引所の違いはあるものの、両方とも株式、株価指数、コモディティ、債券、仮想通貨などの幅広い種類の金融商品にアクセスできるよう設計がされています。
ただし、海外ではテーマETFという形で様々なETFが上場していますが、日本から投資できるものは限られています。
例えば、コモディティに特化したテーマETFのDBC(商品全般)DBA(農業品)、DBB(卑金属)などは国内でも人気がありましたが、証券会社の都合により国内では利用できません。
国内の証券会社の制限を回避する方法としては、IG証券とサクソバンク証券を利用すればほぼ全ての銘柄にアクセスできます。
マーケットリスク
CFDとETFの両方とも、常にマーケットリスクにさらされています。
価格変動は様々な要因、例えば経済状況、政治的な状況、企業の業績などによって引き起こされます。
マーケットリスクの大小は主にトレードする銘柄によって影響を受けます。したがって、CFDとETFのどちらか一方が他方よりも明確に安全または危険とは一概に言えません。
CFDとETFの違いに関するよくある質問
- QCFDとETFのどちらが初心者に適していますか?
- A
通常、初心者にはETFが推奨されます。ETFにはレバレッジの概念が無く、税制上の優遇も受けられるためです。
CFDはより幅広い金融商品で、適切なレバレッジを活用しながら本格的にトレードしたい人向けの投資手法です。
- QCFDとETFのどちらがよりリスクが高いですか?
- A
CFDはレバレッジを使用するため、潜在的な利益だけでなく、潜在的な損失も大きいという特性があります。これにより、CFDは一般的にETFよりもリスクが高いと見なされます。
しかし、CFDもレバレッジを使わずトレードすることができるため、一概にどちらが明確にリスクが高いか結論づけることは難しいです。
トレード手法も重要ですが、銘柄によるリスクの大小にも注意する必要があります。
- QCFDとETF、どちらをどのように選べばいいですか?
- A
CFDとETFの選択は、自身の投資目標、リスク許容度、投資期間などに大きく依存します。
一般的に、CFDは短期間のトレードに用いるトレーダーが多いと言えます。
一方、ETFはより中長期的な視点から特定の市場に投資することを目指す投資家によく用いられます。
- QCFDとETFのどちらが儲かりますか?
- A
投資戦略と市場状況に大きく依存します。CFDはレバレッジを使用するため、少ない資金で利益を大きく増やす可能性がありますが、同様に損失も大きくなる可能性があります。
ETFは通常、中長期の投資戦略で安定したリターンを目指すものです。
- QCFDとETFのどちらが税制上有利ですか?
- A
NISAやiDeCoを利用する場合には、ETFが税制上有利になる可能性があります。
一方で、CFDは確定申告の際に、書籍代やセミナー代など計上できる経費が比較的広く認められる場合があります。
特定の状況により税制度が異なるため、明確にどちらが税制上有利か結論づけることは難しいです。
- QCFDとETFのどちらがリスクヘッジに適していますか?
- A
一般的に短期投資でトレードされやすいCFDはリスクヘッジのためのポジションが取りやすい投資手法と言えます。
また、CFDは簡単に売りポジションを保有できるため、相場の下落局面でETFよりもヘッジしやすいと言えるでしょう。