トレーダーや投資家にとって、金融市場の動向を把握することは重要です。
その中でも、RSI(相対力指数)は、価格の変動から市場のセンチメント(心理状態)を把握するための有力な指標の一つです。
この記事では、RSIの基本的な概念とその使い方について解説します。
RSIとは?
RSIは、1978年にJ. Welles Wilderによって開発されたテクニカル指標で、株式や通貨ペア、その他の資産の過去の価格変動の強さと弱さを比較することで、オシレーターとして機能します。
RSIは通常、0から100の範囲で示され、特定の期間(一般的には14日間)における平均的な上昇幅と平均的な下落幅を基に計算されます。
つまり、移動平均線などのように株価の値動きの強弱について示す指標であり、その中でもRSIは投資家の心理状態を見定めるために活用できます。
RSIの表示方法
主要なネット証券やTradingViewなどの外部サイトでも、RSIは基本機能として利用できる場合がほとんどです。
以下は、SBI証券のアプリから設定する方法です。
チャート画面の[設定]から[サブチャート1(または2)]のRSIを選択すれば表示されます。
設定後は以下のように、株価チャートの下にRSIの指標線が表示されるようになります。
RSIの計算方法
RSIの計算は以下の式で行います:
RSI = 100-(100/(1+RS))
ここで、RSは「平均上昇値」を「平均下落値」で割った値です。
具体的な手順は以下の通りです。
- 過去14日間の各日の価格変動(上昇または下落)を計算。
- それぞれの上昇日と下落日の平均を求める。
- RSIを計算する。
一例として、具体的な値動きを当てはめると以下のとおりです。
もし過去14日間の平均上昇値が10、平均下落値が5だった場合、RSIは100 – (100 / (1 + 10/5)) = 66.67となります。
とはいえ、利用者側で計算する必要はないので、以下の数値の解釈を覚えておきましょう。
RSIの解釈
RSIの値は市場の「買われすぎ」や「売られすぎ」の状態を示すため、次のように解釈されます。
- 70以上:買われすぎ(Overbought)と判断され、価格の調整や下落が予測される可能性が高まる。
- 30以下:売られすぎ(Oversold)と判断され、反発(価格の上昇)の可能性が高まる。
RSIの使い方
買い/売りシグナルの識別
RSIが70を超えたときは、買われすぎと見なされ、売りシグナルが発生する可能性があります。逆に、30を下回ったときは売られすぎと見なされ、買いシグナルが発生する可能性があります。
筆者は前回のピークとボトムを目安にして使用することが多いです。
以下は2024年の日経平均株価とRSIを示しており、8月の大暴落でRSIが「17.67」という超割安圏内に入っていることが分かります。
ダイバージェンスの確認
価格が新高値(または新安値)を付けたにもかかわらず、RSIがそれに追随しない場合、価格の逆転が近い可能性を示す「ダイバージェンス」と呼ばれる現象が発生します。
- 正のダイバージェンス: 価格が下落しているのにRSIが底を打っている場合、上昇転換のサインと捉えることができます。
- 負のダイバージェンス: 価格が上昇しているのにRSIが天井を打っている場合、下落転換のサインと捉えることができます。
サポートとレジスタンス
RSIは、価格チャートと同様にサポートラインやレジスタンスラインを描くことができ、これらのラインを突破することで、トレンドの変化を予測するのに役立ちます。
RSIを活用する際の注意点
単独での使用は避ける
RSIは強力な指標ですが、単独での使用はトレードの質を下げる可能性があります。他のテクニカル指標やファンダメンタル分析と併用することで、より正確な判断が可能です。
過去データの期間設定
RSIの期間設定を短くすると敏感になりすぎ、長くすると鈍感になりすぎる可能性があります。
デフォルトは14日ですが、取引スタイルや市場の特性に応じて調整することが重要です。
まとめ
RSIは、トレーダーや投資家が市場のセンチメントを把握し、売買のタイミングを見極めるための有効なツールです。
とくに、CFD(差金決済取引)を使った短期間のトレードでも役立つ指標です。
ただし、過信せず、他の指標や分析方法と組み合わせて使用することで、リスクを抑えながら投資判断を行うことが重要です。ぜひ、日々のトレードに役立ててください。