「テクニカル分析は意味がない」は本当か?
─ 私はテクニカル分析はまだ死んでいないと思います。
株価はファンダメンタルに集約されると主張する投資家もいます。
それを否定するつもりはありません。
ただし、ファンダメンタルを重視する投資家も、少なからずテクニカル分析によってチャートの機微を観察しています。
両者は水と油のごとく対比されますが、どちらか一方が優れていることはありません。
それより両方の使いどころを知っておくことが重要です。
この記事では「テクニカルは意味ない」ということもないと考えている管理人(ほろほろ)が、テクニカル分析の使いどころを解説します。
いきなり難しい話はしませんので、初心者投資家も安心してください。
この記事では最低限知っておくと、普段のトレードで役に立つテクニカル分析を集約します。
こんなトレードの悩みのヒントになるかも
- 投資(エントリー)のタイミングが分からない…
- このままホールドし続けて良いのだろうか…
- どこで損切りすれば良いんだ…
特に個別株における短期から中期の投資では、テクニカル分析を用いてトレードしている機関投資家も多いため、その理論を知っているだけでも勝率は上昇します。
本気でテクニカル分析に取り組みたいなら
この記事では難しいことまでは解説しませんが、テクニカル分析の基礎があなたのトレードに役立つと感じるなら、ジョン・J・マーフィーが著した『先物市場のテクニカル分析』という最高の一冊を熟読することをおすすめしたいと思います。かなりのボリュームですが、機関投資家がどのようなテクニカル分析をしているか理解できます。(この本はどの投資銀行にも必ずっと言ってよいほど置かれているそうですよ!)
投資タイミングに一貫性がなく、ムチャクチャなトレードをしていると少しでも感じるなら、まずは本書に投資するべきです。
この記事を書いている人
この記事を書いているIF30の管理人ほろほろ(@investfrom30)は投資歴13年です。
米国株、コモディティ、債券、仮想通貨を中心に長期投資と短期投資を分ける戦略で投資市場に参加しています。現在は約3,700万円を運用しています。
特に短期投資ではテクニカル分析を活用しながら投資タイミングを考えています。
毎日のようにBloombergやWSJなどの投資の有力紙を平均10〜20記事を確認しており、重要なマーケット情報をツイッターやポストプライムで投稿しています。おかげさまで合わせて約3,000人からフォローされています。
投資初心者から中級者向けの失敗しないための投資ロードマップを作成しました。こちらの記事と合わせて活用下さい。
テクニカル分析は意味ない?
「テクニカル分析は当てにならない」と感じたことがある投資家も少なくないはずです。
テクニカル分析は『トレンドを確定するもの』ではなく『トレンドの方向を暗示するもの』として利用しなければなりません。
初心者投資家ほどテクニカル分析で明確なヒントを得ようと躍起になりますが、後述するサポートラインやレジスタンスラインの存在もあり思惑通りにいかないことも多くあります。
私は指値・逆指値の待機場所をどこにするか考えるときに、テクニカル分析を利用しています。
つまり「エントリー価格をどこにするか」や「損切り価格をどこにするか」や「ホールドを続けるか」という判断をチャートを手がかりに『機械的』にやる際に活用するわけです。
テクニカル分析の使いどころ
- エントリーのタイミングを決定する
- 損切り価格を設定する
- 目標価格を決定する
一方で、テクニカル分析の視点から『買いトレンド』が暗示されてエントリーを決意した場合でも、利益が出るまで維持を張ってホールドするようなことはありません。
テクニカル分析を活用する時に重要なことは『勝ち』と『負け』の両方のシナリオを考えることです。
それにより、規律的にトレードができるようになります。
テクニカル分析は正確な未来予知に利用できません。
あくまでも、トレードの一助です。
このあたりの感覚を持ち合わせていないと「テクニカル分析は意味ない」という考えに陥ってしまいます。
次の章では投資初心者でも比較的簡単に利用できる基礎的なテクニカル分析を紹介します。
テクニカル分析の基礎|最高値・最安値の更新
テクニカル分析で最も分かりやすいのは最高値・最安値の更新だと思います。
「新値を取る」という呼び方をする投資家もいます。
最高値・最安値ともに初心者でも探しやすいという特徴があります。(証券会社のチャートスクリーニングの条件に必ずと言ってよいほどあります)
最高値を更新するタイミングでは、それまでに買いから入ったほとんどの投資家はプラスのパフォーマンスになります。損をしている投資家がほとんどいない相場と換言できます。この状態はレジスタンスと呼ばれる上値抵抗も無いため、株価が上昇しやすい環境なのです。
最安値を更新するタイミングでは、それまでに買いから入ったほとんどの投資家はマイナスのパフォーマンスになります。多くの投資家が損切りの機会を伺っているか、塩漬けの状態で放置されていると換言できます。レジスタンスが幾重に重なり上値抵抗が強くなるため、株価が下落を続けやすい環境なのです。
投資初心者は「高値掴みをしたくない」という心理状態から、高値更新ではなく安値更新をしている銘柄を選びがちです。
高値更新の銘柄はダウンサイドリスク(下落リスク)が大きくなりますが、沢山のサポートラインで守られているのも事実です。

私は短期から中期までの投資において、最高値(新値)を伺っている銘柄をポートフォリオに入れることが多いです。塩漬け状態を作らないように、安値更新を繰り返す銘柄は長期投資であっても投資対象としていません。
テクニカル分析の基礎|転換シグナル
テクニカル分析の基礎に『転換シグナル』があります。
転換シグナルは『買いトレンド→売りトレンド』または『売りトレンド→買いトレンド』にマーケットの流れが変わるポイントを暗示するものです。
転換シグナルをウォッチする有用性は、株式投資においてトレンドが継続しやすい性質を持つことに裏付けがあります。これは非常に重要なポイントです。
「一方向のトレンドが終了して、反対方向の値動きが開始するポイントになるのでは?」という仮定を考える際に利用することができます。
機関投資家はサポートラインとレジスタンスラインを参考にして買い・売りの予約(指値)注文を入れています。
転換点に到達することで多くの注文が発動するため、値動きが一方向に加速しやすいと言われています。
売りの転換シグナルが出たチャートは特に注意が必要です。
機関投資家は長く損失を抱えることができませんから、損切りラインになりやすいサポートラインにはより多くの注文が集まっています。
サポートラインの数%下あたりに指値注文が溜まっていることが多いので、売りが売りを呼ぶ展開になりやすいのはこのためです。
転換シグナルは利益確定ラインの設定に有効
売りの転換シグナルは利益確定ラインや損切りラインを事前に考えるのに役立ちます。
個人投資家にとって利益確定ラインと損切りラインを決めることはレベルの高い作業です。
この知識は一貫性を持って行動するための一助になるかと思います。
(図左)前回の高値を超えられない場合
1が前回の高値、2が前回の安値です。いま2で反発して3まで上昇したものの、前回の高値1を超えることができず再び下落しました。この場合は前回の安値2に伸びる点線を下抜けるタイミングが転換シグナルになります。
(図右)前回の高値を超えるが前回の安値を下回る場合
1が前回の高値、2が前回の安値です。いま2で反発して3まで上昇し、前回の高値1を超えることできました。このタイミングまでは買いシグナルが継続されていると考えられます。ここで下落基調が強まったとしましょう。これまでの知識を活用すれば、直近の安値4に向かって下落する最中に前回の安値2から生成されるサポートラインAを下抜けることでトレンド転換と考えることができます。しかし、今回のパターンでは前回の高値1を超えての下落であるため、まだ上昇トレンドは継続していると考えることもできます。慎重に考える投資家は4から生成されるサポートラインBを下抜けるタイミングが売りの転換シグナルになると考えます。
転換シグナルは短期的に使われることが多いです。
長期的に観察するために利用している投資家もいますが、その場合はトレンドラインを見る方法が良いかと思います。これは別の記事で解説します。
テクニカル分析は意味ない?と感じるなら基礎の見返しを
今回は「もしかしてテクニカル分析って意味ないのかな?」と疑問に感じている投資家向けに、テクニカル分析の基礎の中でも理解しやすく有用性があるものを紹介しました。
まずは『最高値・最安値』と『トレンド転換シグナル』の基礎部分を理解するだけでも、投資のチャンスを増やし、損失リスクをある程度は減らせるかと思います。
え? まだまだ物足りない? では次回から少しレベルを上げていきますよ!