社債とは一体なにか知りたい人
「資産運用における社債とはどういったものなんだろう?いろいろな社債があるようだけど、それぞれの特徴や買い時を知りたいな」
このような疑問を解決します。
この記事では社債を資産運用に加えてお金を稼ぐうえで、知っておくべき基本的な情報をまとめています。
この記事の内容
- 社債とはなに?
- 社債の種類
- 社債の信用力とは
- 社債の買い時を考察
社債とはなに?
社債とは企業が投資家から資金を集めるために発行する借用証明のことを指します。
社債と言えば基本的に『普通社債』を意味します。一方で、後ほどご紹介するように、社債にはいくつかの種類があります。社債の中にもリスクが低いものと高いものが存在しますので、社債の条件を理解することでリスクの取り方が随分変わりますよ。
かなり大きい社債の市場
債券と言えば『国債』を思い浮かべる人も多いかと思います。国債は世界的にも非常に大きな市場を持っています。その中で社債は国債や住宅ローン担保(モーゲージ債)の次に大きな債券市場と言われています。
この傾向は米国市場においても同じです。
株式との違い
企業が発行するものには『株式』もあります。株式と社債の違いは、社債を購入した投資家は利率に応じた利息を得られます。また満期まで保有しておけば投資金額が返済される仕組みです。
元本が保証されているものであれば、利息の部分を確実に得られる投資商品です。
社債の種類
普通社債
一般的に社債とは『普通社債』のことを指します。英語名でSB(ストレートボンド)と言うこともあります。普通社債はほとんど場合、事前に設定された固定金利に合わせた利息を満期まで得られます。
普通社債は信用格付によってリスクが異なります。信用が低い社債ほど金利が高く設定されています。リスクに応じて得られるリターンが多いという「リスクリワード」が働きやすい投資商品です。
転換社債
転換社債(転換社債型新株予約権付社債)は、普通社債と仕組みは同じです。条件によって途中で社債を株式に交換できる点が異なります。
一般的に転換社債は普通社債に比べて得られる利息が低い場合が多いです。しかし、途中で株式に交換できる条件があることから、使い方によってはより大きなリターンが発生する場合もあります。転換社債は英語名のCB(チェンジャブルボンド)と呼ばれることもありますよ。
一般的に社債は企業側からすると負債(借入)となりますが、転換社債が株式になると資本に組み入れ(増資)になる特徴も理解しておくと良いです。
ワラント債
ワラント債(新株予約権付社債)は、普通社債に加えて、企業が発行する株式を一定金額で購入できる権利が付いています。転換社債と異なり、株式を手に入れるには追加の資金が必要になりますが、ディスカウント価格を狙える場合もあります。その株式を売却することで差益を狙った投資も可能になります。
劣後債
劣後債は社債のなかでリスク対するリターンが最も大きい(リスクリワードが高い)ものです。劣後債は投資家に対しての債務の弁済の優先順位が低く設定されている代わりに、比較的高い金利で利息を得ることができます。企業が破綻した場合には、その他の債務弁済をした余剰資金が投資家の債務に回されます。結果的に劣後債に投資した資金を優先的に回収できません。(ほとんど場合、回収の可能性はゼロと考えてよいです)
その他の社債
その他にも担保付社債や電力債などもありますが、資産運用をする中では上記の4種類がよく出てくるかと思います。今回は理解を早めるために、あえてその他の社債は解説していません。
社債の信用力とは
社債って株式より安全なイメージがあるけど?実際のところどうなの?
社債のリスクを考える時には、社債を発行する組織の『信用力』を知ることが大切です。
社債は第三者格付機関によって調査され、社債の信用力に応じた『格付け』が付与されます。
第三者格付機関は日本格付研究所(JCR)、格付投資情報センター(R&I)、フィッチ・レーティングス、ムーディーズなどがあり、格付区分もそれぞれの機関で若干異なります。
この格付けは大きく2つの信用区分があります。格付けBBB以上なら『投資適格債』、それ未満なら『ハイイールド債』と呼ばれます。ハイイールド債は非投資適格債、投機的格付債券、ジャンク債など色々な呼び方がありますが、投資適格債に比べて利回りが高い特徴を持っています。
投資適格債はAAA〜BBBの4段階、ハイイールド債はBB〜Dの6段階の格付区分があります。こちらは岡三証券に掲載されているR&Iの格付一覧です。
格付は社債を発行する企業の『債務返済能力』が悪化すると引き下げられる点から、リスクリワード(ハイリスク・ハイリターン)の原理が機能していると言えるでしょう。
企業背景を無視して格付区分だけで考えると、このようなイメージになるはずです。
投資適格債はリスクとリターンが低く、ハイイールド債はリストとリターンが高いのです。言い換えれば、投資適格債の債務不履行(デフォルト)の確率は、ハイイールド債に比べて低いことを意味します。結果的に投資資金(元本)の償還と利息の支払いについても同様のことが言えるわけです。
それじゃあハイイールド債って投資対象として微妙なんだね
このように感じる投資家もいるはずです。
IF30の管理人ほろほろ(@investfrom30)もジャンク(ゴミ)呼ばわりされるハイイールド債への投資はあまりおすすめしません。
一方で、ETFを通じてジャンク債に投資をして、高い利回りを得ています。次に投資適格債とハイイールド債の買い時を考えてみます。
社債の買い時を考察
ここから社債の買い時について考えてみます。
先に結論を書いておきます。
投資適格債:長期金利に影響を受けやすい。日本国債や米国株の10年モノ国債の長期金利に影響を受けやすく、金利上昇局面では社債の表面価格に影響を与えやすい。特にETFの株価や投資信託の基準価額に影響します。ご覧のようにきれいな負の相関関係になっている時期が多いです。
ハイイールド債:新興国の株式や債券価格に影響を受けやすいと言えます。長期金利(上)とは正負関係がバラバラで判断が難しい一方で、新興国債券ETF(下)では正の相関関係にあることが多いです。(つまり新興国債券の利回りが減少するとハイイールド債の表面価格は上がりやすい)
一般的にリスクが高い金融商品ほど先に売られることが原因として考えられます。
新興国株→マイナーな仮想通貨→ジャンク債→小型株→大型株
(数年前までは仮想通貨が新興国株よりも早く売られていましたが、ビットコインなどの大型仮想通貨は安定してきています)
もちろん例外はありますしマジックナンバーではありません。とはいえ、私はこのようなリスクオフのイメージを持っていますので、先行指標になりそうな金融商品の値動きや利回りを確認してトレンドに乗ることが多いです。
この傾向を覚えておきながら、社債でどういった投資ができるか見ていきます。
社債に投資するには?
社債に投資するなら銀行窓口よりネット証券の手数料が圧倒的にお得です。
どの証券サイトでも[商品]→[債権]または[投信]から社債に投資ができます。
個別の社債に投資する場合
企業が発行する社債に個別に投資する方法です。
こちらはSBI証券で売り出されている社債の概要です。受託銀行、条件、レーティング、発行企業、償還条件など細かな部分もしっかり読んでおきましょう。最近の社債にはノックインと呼ばれる償還条件などが付与されていたりします。
個別社債の買い時については、企業の財務体制が健全かどうかに左右されます。そのため、レーティングの信用力が物を言います。また、株式に連動して償還価格が変わる社債は下落局面で購入すると、損失が発生する可能性があります。
当然ながら株式市場の地合いが悪い場合には、償還価格に悪影響を与えると言わざるを得ません。できるだけ売上や利益が順調に伸びている企業の社債に投資するほうがより安全です。
ETFや投資信託で包括的に社債に投資する場合
こちらはSBI証券の投資信託から社債に投資する際の選択画面です。一つの社債に投資する訳はなく、レーティングごとにグループ化された社債にまとめて投資できます。
投資信託は得られる利息を再投資して節税できるものもありますが、手数料が高い場合がほとんどです。IF30では次に上げるETFを活用した社債への投資をおすすめしたいと思います。
社債ETFを活用する
個人的には格付区分ごとの社債をETFを通じて包括的に投資する方法が比較的に安全であり、トレンドの見極めがしやすいと感じます。
私がよく利用する社債はETFはご覧のようなものがあります。(日本国内の社債ETFで良さそうなものは正直ありません)
社債の残存期間(満期までの残り年数)を考慮したい場合には、IGSBやIGIBも候補になります。トレンドに乗って投資するなら、あまり気にしなくても良いかと思います。
1000以上の社債が混ざったETFなら相当な分散効果が効いています。倒産時に弁済の可能性がほとんどない劣後債ですら、まとめて保有することでリスクを無視できるレベルになります。
まとめ
社債などの債券の値動きは比較的に安定しており、政治や景気の転換点で上下に大きく動き出しやすいです。
買い時については、この記事で考察した通りです。一方で、過去のレンジ(値幅帯)も参考にしやすい投資商品だとも思います。
しっかりとタイミングを計って投資ポートフォリオに加えれば、インカムゲイン(利息)は勿論のこと、キャピタルゲイン(値上がり益)も狙える投資方法です。
上手に組み合わせて、資産運用を加速させてみて下さい。