株式投資をしていると、「これから相場がどう動くのか?」を予測するのは非常に大切です。
そんな時に役立つ指標の一つが「日経平均ボラティリティ・インデックス」(通称:日経平均VI)です。
今回はこの日経平均VIについて、初心者の方でもわかりやすいように解説していきます。
『日経平均VI』の使い方を解説!
日経平均VIの基本的な説明から、普段のトレードでどのように活用するかまで解説していきます。
日経平均VIは日本経済新聞社の日経平均プロファイルというページで見ることができます。
日経平均VIって何?
米国株をやっている投資家なら「VIX指数」というS&P500をベースにした恐怖指数があることをご存知かと思います。
日経平均VIとは、日本版の「恐怖指数」とも言われるもので、市場参加者が予測する日経平均株価の1か月先の変動の大きさを数値化したものです。
この数値が高ければ高いほど、投資家たちは「株価が大きく動くかもしれない!」と予想していることを意味します。
逆に数値が低い時は「大きな変動はなさそうだな」と見ているということです。
関連記事:VIX指数とは?株価急落時によく聞く恐怖指数の使い方
なぜ「恐怖指数」と呼ばれるの?
日経平均VIは、株価が大きく下がるときに急上昇する傾向があるため、「恐怖指数」と呼ばれています。
株価の急落は多くの投資家にとってリスクが高く、恐怖を感じる場面ですよね。
そのため、日経平均VIが急上昇すると、「今後相場が不安定になるかもしれない」といった市場の不安感を表していると考えられます。
どのように使うの?
日経平均VIを使うと、今後の相場が荒れるのか安定しているのかを予測する手がかりを得ることができます。
例えば、日経平均VIが20の時、市場は「株価が上下20%の範囲で動くかもしれない」と予測しています。数値が上昇して30や40になると、投資家たちは「より大きな変動がありそうだ」と考えていることになります。
例えば、日経平均VIが20の時、投資家たちは「日経平均株価が今後1か月で**±20%の範囲で変動する可能性がある」と予測しています。
具体的には、日経平均が現在37,000円の場合、この20%の変動幅は次のように計算されます。
- 上限:37,000円 × (1 + 0.20) = 44,400円
- 下限:37,000円 × (1 – 0.20) = 29,600円
つまり、日経平均VIが20の時は、日経平均株価が今後1か月で29,600円~44,400円の範囲で変動する可能性があるということです。
相場の急落を警戒したい時や、逆に「これから落ち着いてくるのでは?」というタイミングを見極める際に、日経平均VIは参考になるでしょう。
過去のイベントでの日経平均VIの動き
過去のデータを見てみると、日経平均VIが急騰した場面では、相場に大きな動きがあったことがわかります。
例えば、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災の際には、日経平均VIが大きく上昇しました。
リーマンショックの時は「92.03」、東日本大震災の時は「69.88」まで上昇しており、市場全体に大きな不安が広がっていたことがわかります。
投資の判断材料の一つに
日経平均VIは、相場の動きを予測する手がかりの一つとして活用できます。
しかし、日経平均VIが上がったからといって必ずしも相場が大きく動くわけではありません。あくまで投資判断の材料の一つとして使い、他の情報や指標とも合わせて総合的に判断することが大切です。
日経平均VIを普段のトレードに役立てるには?
日経平均VIは、相場のボラティリティ(価格変動の大きさ)を示す指標であり、短期トレードに向いているCFD取引(差金決済取引)において有用なツールとなります。
CFD取引では、資産価格の上下動を利用して利益を狙うため、相場が大きく動くタイミングや、逆に安定しているタイミングを見極めることが重要です。
この点で、日経平均VIは以下のように役立ちます。
高ボラティリティを見極める
日経平均VIが上昇している場合、投資家たちが日経平均株価の大幅な変動を予想していることを意味します。
CFD取引では、大きな価格変動を狙ってポジションを取る際に、日経平均VIを参考にすることで、リスクを測りながら取引を行うことができます。
リスク管理の指標として
日経平均VIが急上昇している時は相場が不安定な状況を示しており、リスクが高まる可能性があります。
CFD取引では、レバレッジを利用して取引を行うため、大きな変動は利益のチャンスである反面、損失のリスクも増加します。
日経平均VIを見て、リスクが高い時にはポジションのサイズを抑えるなど、リスク管理に役立てることができます。
トレンドの確認
日経平均VIは、相場の急落時に急上昇する傾向があり、相場全体が下落する際の先行指標としても利用されます。
CFD取引で日経平均株価の取引を行う場合、日経平均VIが上昇している時には相場の下落トレンドが来る可能性が高いため、売りポジションを検討する一つの手がかりになります。
レンジ相場とボラティリティの低下
日経平均VIが低水準にある場合、相場が落ち着いている可能性が高く、レンジ相場(一定の範囲で価格が動く相場)であることが予想されます。
CFD取引では、レンジ相場では取引の機会が少ないかもしれませんが、ブレイクアウトを狙う戦略を立てる際には、ボラティリティが低い時期を見極めるための指標として使えます。
関連記事:CFDとは?差金決済取引を理解して投資の幅を広げよう!
日経平均VIに関するよくある質問
- Q日経平均VIの目安はありますか?
- A
30 がひとつの目安とされ、30 を上回る状況が続くと投資家は現物株の値下がりリスクを意識するといわれています。通常時は20前後を推移することが多いイメージです。過去の値動きをみると、日経平均と日経平均 VI はおおむね逆相関の傾向があります。
- Q日経平均VIの変動幅は必ず当たりますか?
- A
必ず当たるわけではありません。
日経平均VIは、市場参加者の予想に基づいた指標であり、今後1か月間に日経平均株価がどの程度変動するかを推測したものです。しかし、あくまで予測であり、実際の株価の動きが必ず日経平均VIの示す範囲内に収まるとは限りません。
初心者ですとこのような指標に妄信的になってしまう場合もありますが、大切にするべきは投資の基本的な部分です。以下に初心者が抑えておくべきポイントをまとめていますので参考にしてみてください。
- Q日経平均VIはどのように算出されますか?
- A
日経平均VIの計算には、大阪取引所に上場している日経225オプション取引のプレミアム(オプション価格)を使用します。オプションは、将来の株価の変動を予測するための金融商品であり、その価格は市場参加者の将来の株価変動(ボラティリティ)に対する期待を反映しています。
- Q他のセンチメント指標との組み合わせた方が良いですか?
- A
RSIやMACDなどのテクニカル指標と日経平均VIの組み合わせは有効です。
これらの指標を組み合わせることで、より多角的な相場分析が可能となり、投資判断の精度を向上させることができます。各指標には異なる特徴があり、それぞれ相場の異なる側面を評価するため、相互に補完することでトレード戦略を強化できます。
また、日本とアメリカの株式はお互いに影響を与えますので、米国市場の多角的なデータをベースにした強欲指数と呼ばれる投資家心理のパラメーターとの組み合わせなども効果的でしょう。
まとめ:日経平均VIを賢く活用しよう
日経平均VIは、相場が不安定になる兆候を早めにキャッチするための重要な指標です。
「恐怖指数」とも呼ばれる日経平均VIを使えば、投資家たちが今後どのように市場を見ているかを知ることができます。
投資初心者の方でも、この指数を理解しておくことで、リスク管理がしやすくなりますよ。
日経平均VIを上手に活用し、相場の動きを冷静に見極めながら、より安全に投資を進めていきましょう!