資産形成を目指す投資家の間で注目を集めている高配当ETF。
中でもJEPI(JPMorgan Equity Premium Income ETF)は、安定した配当金と穏やかな値動きが特徴の人気のETFです。
本記事では、JEPIの仕組み・魅力・注意点について、初心者の方にもわかりやすく解説します。
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JEPIとは?
JEPIは、JPモルガン・アセット・マネジメントが運営するETF(上場投資信託)で、正式な名前はJPMorgan Equity Premium Income ETFです。
2020年5月にアメリカで上場し、2025年現在、運用資産は300億ドル以上に成長しています。
JEPIは主に米国の大型株(S&P500構成銘柄を中心)に投資しながら、オプション取引(カバードコール戦略)を活用することで、安定的なインカム(分配金)を目指しています。
JEPIの特徴
JEPIには以下のような特徴があります。
高い分配利回り
JEPIの最大の魅力は、高水準の分配利回りです。
年利で約7〜10%前後(時期によって変動)という高い利回りを、月次で分配する点が特徴的です。
配当好きの投資家にとっては、毎月安定したキャッシュフローが得られるのは非常に魅力的です。
低ボラティリティな運用
JEPIの投資先はS&P500構成銘柄のうち、安定性の高いディフェンシブ銘柄やボラティリティの低い企業が中心です。
さらに、オプション取引によって価格変動リスクを抑える効果もあるため、株価の上下動が比較的マイルドになっています。
これにより、配当を得ながら値動きの安定性も求めたい投資家にとって、バランスの取れたETFといえます。
JEPIの仕組み:カバードコール戦略とは?
JEPIが高配当を実現している秘密は、カバードコール戦略というオプション取引の仕組みにあります。
カバードコール戦略とは?
JEPIでは、保有する株式に対して「カバードコール(Covered Call)」という戦略を用いて、コールオプションのプレミアム収入を得ています。
ざっくり言うと、
- 企業の株式を保有しつつ、
- 「この価格でなら売ってもいいよ」という契約(コールオプション)を売ることで、
- その見返りとしてオプション料(プレミアム)を毎月受け取る
という仕組みです。
このオプション収入が、JEPIの分配原資として活用され、結果的に高い分配利回りを実現しているのです。
JEPIのメリット
安定した高配当
月次分配&高利回り(約7〜10%)は、インカム狙いの投資家にとって非常に魅力的です。
相場下落時にも強い設計
ボラティリティの低い銘柄を選定し、オプション戦略を併用しているため、株式市場の下落局面でも値動きが緩やかになりやすい特性があります。
分散されたポートフォリオ
S&P500構成銘柄を中心とした幅広い企業群に投資しているため、個別株のリスクを分散できます。
JEPIのデメリット・注意点
株価上昇の恩恵は限定的
カバードコール戦略では、「ある価格以上の株価上昇は放棄する」仕組みになっているため、急激な株価上昇局面では利益を取り逃す可能性があります。
長期的な株価成長を重視する方には、向いていない場合もあります。
為替リスクがある
JEPIは米国ETFであり、投資通貨は米ドル建てです。円建てでの利回りや価値は、為替レートの影響を強く受けるため、為替変動にも注意が必要です。
新NISAの成長投資枠の対象外
JEPIは毎月分配型かつデリバティブ取引を利用しているため、新NISAの「成長投資枠」の対象外となっています。
NISA枠での運用を考えている方は、別のETF(例:VYM、HDVなど)を検討する必要があります。
関連記事:VYMの投資情報を解説します 【長期投資家に人気の高配当海外ETF】
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JEPIとJEPQの違い
JEPIの兄弟ETFとして知られるJEPQ(JPMorgan Nasdaq Equity Premium Income ETF)も、高配当ETFとして人気があります。
以下に主な違いをまとめました。
項目 | JEPI | JEPQ |
---|---|---|
投資対象 | S&P500構成の大型株 | ナスダック100銘柄(主にハイテク) |
株価の安定性 | 高(ディフェンシブ重視) | やや高めのボラティリティ |
利回り | 約7〜10% | 約9〜12%(JEPIよりやや高い) |
成長性 | 安定志向 | 成長志向(ハイテク株中心) |
新NISA対応 | 非対象 | 非対象 |
どちらも高配当で人気ですが、JEPIはより保守的・安定重視、JEPQはやや攻めの姿勢があるETFといえます。
関連記事:【毎月高配当が魅力!】JEPQの特徴と投資メリット・デメリットを徹底解説
JEPIはどんな人におすすめ?
- 定期的な分配金収入を重視したい人
- 値動きがマイルドなETFで、リスクを抑えた運用をしたい人
- インデックス投資だけでは物足りない、インカム補完の手段を探している人
逆に、株価の成長(キャピタルゲイン)を最大限に取りたい方や、NISA枠での活用を考えている方には、JEPIは合わない可能性もあります。
まとめ
JEPIは、カバードコール戦略を用いて安定したインカム(配当)を重視する投資家にとって、非常に魅力的なETFです。高配当でありながら値動きが比較的穏やかで、資産全体のバランスを取る「ミドルリスク・ミドルリターン」の存在として活用できます。
ただし、新NISA対象外である点や、上昇相場での利益を最大化しづらいといったデメリットも理解したうえで、ポートフォリオに組み入れることが大切です。
投資は自己責任です。JEPIに限らず、ETFの内容をしっかりと理解し、自身のリスク許容度や目的に合った選択をしていきましょう。