ダブルトップは、テクニカル分析において広く利用されるチャートパターンの一つで、株価の上昇が終わりに近づき、下落に転じる可能性を示唆するサインとして知られています。
このパターンが現れると、投資家は相場が天井に達し、今後の値動きが下向きになる可能性が高いと考えます。
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ダブルトップの特徴
ダブルトップのチャートパターンについて特徴は以下のとおりです。チャートの形やサポートラインを理解することで、トレンド転換を意識したトレードが可能になります。
2つの高値から形成される
株価が大きく上昇した後、一度下落し、再び上昇しますが、最初の高値を超えることができず、ほぼ同じ高さの2つの山を形成します。
下図のチャートは一般的なダブルトップを形成しています。
前回の高値①から、利益確定売りなどを理由に下落に転じ、その後に値上がりますが、直近の高値②が①を超えられず、その後、大きく値下がる様子が分かります。
全体的に見ると、このパターンはアルファベットの「M」のような形をしています。この形が確認された場合、相場の転換が近いと判断されることが多いです。
ネックラインを下抜けると下落トレンドに
2つの山の間にできる谷底を結ぶ線を「ネックライン」と呼びます。
このネックラインを株価が下抜けた時点で、ダブルトップが完成し、下落トレンドに入ることを示唆します。
ダブルトップでは、前回の高値がレジスタンス(抵抗線)となり、株価がその水準を超えられないことが重要なポイントです。この抵抗線が強ければ強いほど、再びその高さを突破するのは難しくなります。
また、ネックラインがサポートラインとして機能しますが、このラインを株価が下回ると、売りの勢いが増し、さらに大きな下落につながる可能性が高くなります。
サポートラインが崩れることで、多くの投資家が一斉に売りに転じ、相場の下落が加速することがあります。そのため、ネックラインを下回ることは、下落トレンドが本格化する強いサインとされています。
ダブルトップが示唆すること
下落方向のトレンド転換
ダブルトップの発生は、上昇トレンドから下落トレンドへの転換を強く示唆します。
特にネックラインを明確に下抜けた場合、それまでサポートラインとして機能していたネックラインが、今度は上値抵抗線(レジスタンスライン)となります。
これにより、株価が一度下落した後にネックラインまで戻ったとしても、そのラインが新たな抵抗となり、再び上昇するのが難しくなります。
もしこの抵抗線を突破できずにすぐに回復が見られない場合、下落トレンドへの転換がより確実と見なされ、さらなる下落が予想されます。
売りのシグナル
ダブルトップが完成すると、多くの投資家はこれを売りのシグナルと見なします。結果として、株価はさらに下落することが予想されます。
ダブルトップの活用方法
売りのタイミング
ネックラインを下抜けたタイミングが、売りの絶好のタイミングとされます。この瞬間が、投資家にとってリスク回避の行動を取る良い機会となるでしょう。
損切りの目安
ネックラインを下抜けた場合、損切りの目安としても活用できます。相場が下落する前に損失を最小限に抑えるための戦略として重要です。
積立投資の押し目買い
ダブルトップなどのチャートパターンを活用したテクニカル分析は、CFDなどの短期的なトレードに向いています。
そのため、新NISAやiDeCoなどを活用した、長期的な資産運用では下落回避の行動よりも、より安くなったタイミングで投資をして、保有する株数を増やすため、タイミングを見計らう目的に使用することがおすすめです。
他の指標との組み合わせ
ダブルトップは他のテクニカル指標(例: 移動平均線やRSI)と組み合わせることで、より確度の高い売買判断を行うことができます。
ダブルトップの注意点
他の要因の考慮
ダブルトップはあくまで一つのチャートパターンであり、その後の相場の行方を100%の精度で予想するものではありません。
相場全体を判断する際には、他の経済状況や企業の業績なども考慮する必要があります。
他のチャートパターンとの見間違い
ダブルトップはイメージ的には、大きな「Mの字」を描くチャートを形成します。
一方で、以下のように支持線と抵抗線の間を何度も、行ったり来たりする「レンジ」と呼ばれるチャートパターンがあり、初心者ですとダブルトップと見間違えやすいです。
この場合、ネックラインを下抜けることでダブルトップ(場合によっては高値が3つ重なるトリプルトップ)を形成されます。
しかし、このパターンは、相場の方向性が不明確な時に発生しやすく、ダブルトップとは異なり、トレンドの転換を示すものではありません。
まとめ
ダブルトップは、相場の天井を示唆する重要なチャートパターンです。
しかし、これだけで全てを判断することは危険です。他のテクニカル指標や経済状況を考慮し、総合的に分析することが必要です。投資を行う際は、リスクを十分に理解した上で、慎重に行動することが求められます。
このパターンを活用することで、適切なタイミングでの売買が可能となり、リスク管理の一助となるでしょう。