この記事では中国で人気を博している電気自動車(EV)メーカーのニオ(NIO)中国名:上海蔚来汽車について解説をします。
この記事では以下の資料を参考にまとめています。
この記事はニオ(NIO)の紹介が目的であり、投資を推奨するものではありません。
ニオ(NIO)の最新情報についてはTwitterでお知らせしていますので、フォローしておいてください。
外国株の投資におすすめの証券会社
ニオ(NIO)の投資情報
まずはニオがどういった企業なのか見ていきましょう。
ニオは中国国内で電気自動車(EV:Electrical Vehicle)を開発、製造、販売まで行うメーカーです。
ニオ(NIO)の注目ポイント
- 中国で人気のEVを販売
- EV一強のテスラ(TSLA)の対抗馬になりうる
- マーケティングも上手なEVメーカー
中国で人気のEVを販売
ニオは2017年に創業したスタートアップのEVメーカーです。その前身は2014年に上海で設立されたNextEV(中国名:汽車)であり、自動車産業向けのインターネット事業を手掛けていたBitautoホールディングスCEOのウィリアム・リー氏が代表を務めています。
中国国内でのEV市場については後ほど触れますが、現状はイーロン・マスク氏が率いるテスラが独走しています。一方でニオの洗練されたデザイン性から、多くのファンを抱えているとも言われています。
Twitterを利用して中国のNIOユーザーの動向を追っていると、日々その人気が増している印象を受けるのです。
Going to buy a NIO ES6 soon, tried every service before making the decision .Went to the shop nearby for a test drive, super busy , and I had to wait for 2 hours for the test drive. What really surprised me was they have a number of volunteers on the shop floor who are car owners pic.twitter.com/TJzYKILJ6w
— nic (@niccdtkl) November 18, 2020
「NIO ES6を購入する予定。その前にすべてのサービスを利用して購入検討をしたよ。試乗車の運転に近くショップに行ったけどめちゃくちゃ混んでて、2時間も待たされた。本当に驚いたけど、NIOを購入したドライバーたちがボランティアするためにショップの前に立ってた」@niccdtkl
販売店もおしゃれで人気
中国での自動車市場では『デザイン性』や『洗練製』が重視されてきています。さらに顧客サービスなどの付加価値部分にも消費者の関心が高まっている背景があります。ニオの販売店はすごくお洒落だと中国の消費者の心を掴んでいるようです。
Weilai Pudong Century Place has officially opened, making it more convenient to test drive and buy a car in Pudong. $NIO pic.twitter.com/BKaRkTy5k1
— Chris (@Klp168) January 30, 2021
「Weilai Pudong Century Placeがオープン、浦東市での試乗や購入がより便利になってますよ」@Klp168
ニオの洗練されたハイグレードEV
こちらがニオが販売しているハイグレードタイプのEVです。デザイン性は高いと思います。
EV一強のテスラ(TSLA)の対抗馬になりうる
こちらはcleantechnicaが集計した2020年1月〜12月の中国でのプラグイン型EVの販売台数です。これを見るとテスラのモデル3が圧倒的に人気だったことが分かります。ニオのES6はモデル3に対して約4倍の差を付けられていることになります。
この表を見たときにニオは人気が無さそうに見えてしまいます。この表には商業用EVやコンパクトEVなど様々なEVの販売台数が集計されているので注意が必要です。
NIOは高級EV路線
ニオが力を入れているのはハイグレードな高級EVです。中には日本円で50万円以下で購入可能なコンパクトEVを手掛けるメーカーもありますが、ニオを比較するべきは競合他社は、同じハイグレードEVで戦っているテスラです。GAC AionやBYDなどもライバルですが、どちらかと言えば大衆車向けを手掛けているので、NIOの注目ポイントは今後どれだけテスラとの差を縮めるかです。この点を忘れずに今後の動向をウォッチするべきでしょう。
テスラのサービスに不満の声も?
中国で勤務している知人にニオについて聞いたことがあります。テスラのEVは街中でよく見かけるけど、ニオも増えてきているようでした。(2021年3月)
テスラかニオで迷っている人もいるようで、テスラという素晴らしいブランドに惹かれる人が多い一方、購入後のカスタマーサービスが弱いとの指摘もあるそうです。
「アフターサービスまで求めるドライバーはニオに流れやすいのでは?」というのが、車好きの知人のコメントでした。
こちらについて、確証を得るべくSNSを見渡してみると中国に住んでいる凄腕投資家のファングリオン丸さんのツイートがありました。
NIOもこの値段から1年後に、半額になるか倍額になるか?って自問自答したら「買い!」の一択でしたねっつ
— ファングリオン丸: The Force🧖🏻♂️ (@FANGMAT_X) March 6, 2021
わしの場合は、実際に🇨🇳でどんどん増殖してる路上のNIOの数と、テスラの不評の声を実感してるから、余計にこの値は躊躇いが村民よりも少ないのはあると思うっつ
NIOもこの値段から1年後に、半額になるか倍額になるか?って自問自答したら「買い!」の一択でしたねっつ
わしの場合は、実際に🇨🇳でどんどん増殖してる路上のNIOの数と、テスラの不評の声を実感してるから、余計にこの値は躊躇いが村民よりも少ないのはあると思うっつ
中国在住の人のコメントは説得力があります。
政府主導によるEVへの誘導
中国政府が主導するEVへの誘導によって、EVを購入する際のナンバー登録料などの割引特典などを受けられるようになっています。こちらの記事では現地からの興味深い内容が示されています。
「地域によってはガソリン車を購入する際の登録費用が高く設定されており、登録までに数年かかることもある」
真偽のほどは定かではありませんが、環境汚染が深刻と言われる中国ですので、こういった強硬姿勢を取っている可能性は十分にあります。
(参考)Why some Chinese are buying local electric car brands like Nio — instead of Tesla
マーケティングも上手なEVメーカー
中国系のEVメーカーの中でニオのマーケティング力は突出している印象を受けます。
ニオでは新製品の発表やユーザー感謝祭のためにNio Day(ニオの日)を開催しています。
2020年のNio Dayの開幕式の様子がYoutubeにアップされていますので、冒頭部分だけでも見る価値はあります。熱狂的なファンが集まってきている様子が伺えますね。
初代CEOを務めるウィリアム・リー氏のプレゼン能力の高さも伺えます。
ニオが展開する『As a Service』
ニオとテスラの大きな違いを考えると、ニオのマーケティングの上手さが浮き彫りになります。その一つがニオが展開するNIO BaaS (Battery as a Service)というバッテリーのサブスクリプションです。バッテリーが劣化した際に新品交換できるのはもちろんのこと、アップデートにも対応しています。サブスク化によって定期的な収入源を確保しているわけです。
また、Worry-Free Serviceというニオドライバーに付与されるサービスが非常に人気です。
このようなサービスを背景に走り出しの新車価格は400万円〜となっています。強気の値段設定になっているようですが、コスト以上にニオのサービスに魅力を感じる中国人ドライバーが多いようです。
- コアファンの獲得
- サブスクによるマネタイズ
- 高サービスによるハイエンドモデルの割安感
このようなマーケティング手法で見込み客を確保しており、売上を順調に伸ばしやすい経営をしていると感じます。
ニオ(NIO)をとりまくEV市場について
最後にニオが展開する中国のEV市場について簡単に説明をします。
リーCEOの2021年になってからのコメントを参考にすると、半導体の供給不足が原因で生産が追いついていない状況だそうです。ニオ側の生産体制としては月間1万台に達しているが、材料不足の影響で7,500台程度に頭打ちしているとのこと。
ニオを取り巻く市場環境は目まぐるしく変化するため、この記事ではニオの基本情報に留めています。最新の動向についてはTwitterでお知らせしていますので、気になる人はフォローしておいて下さい。
中国のEV市場は今後も期待できる
中国では2020年に130万台のEVが販売されており、世界全体の販売台数の41%を占めています。ヨーロッパの販売台数は世界全体の42%、アメリカはわずか2.4%となっています。
すでに中国でのEV市場は活発になってきていますが、2021年以降も以下のように販売台数が増加していくことがcanalysの調査で発表されています。
CO2の排出量を減らす世界的な取り組みが今後も加速することは間違いない事実ですので、長期目線でニオに投資する価値はあるかもしれません。
ニオは順調に成長している
こちらは2020年のニオの成績です。2019年と比較して車両販売と収益が大きく成長している様子が分かります。
驚異的な成長を見せているわけですが、この伸び率がいつまで続くかも重要です。
2021年2月現在では、ニオの販売は中国国内だけに限定されています。今後目指すのは、間違いなく海外です。環境意識が強いヨーロッパの方ではEV市場は活発ですが、他の国ではまだまだEV市場は成長が始まったばかりなので、伸びしろが沢山あると考えられています。
また、ニオが開発している自動運転技術にも注目しておきましょう。こちらはニオの自動運転で高速道路をドライブする動画です。
公的支援も期待できるかも
ニオは2年前に危機的な財務状況に陥っている背景もあります。しかし、政府主導のクリーンエネルギーへの転換があったため、公的な支援を受けていることも忘れてはいけません。
最後にウィリアム・リーCEOのアニュアルレポートに記載されたコメントを掲載しておきます。今後もますますの成長を期待できそうです。
▼ $NIO アニュアルレポートよりウィリアム・リーCEOとCFOのコメント荒翻訳#投資 #米国株 pic.twitter.com/b2o3wXxz5I
— ほろほろ (@investfrom30) March 12, 2021
以上が、投資を検討する上で知っておくべきニオの基本的な投資情報です。ニオを取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、最新の情報を知りたい場合はTwitter(@investfrom30)をフォローして下さい。