今回は、高配当株の中でも医薬品業界における注目銘柄、小野薬品工業(4528)について深掘りしていきたいと思います。
医薬品業界はディフェンシブな性質を持ち、景気に左右されにくいという特長があります。その中でも、小野薬品は配当利回りが4%を超える魅力的な銘柄。
さらに、世界的に評価されている抗がん剤「オプジーボ」を保有し、安定性と今後の期待を兼ね備えた企業です。
この記事では、小野薬品工業の基本情報から業績、配当の推移、今後の見通しまで、個人投資家目線で丁寧に解説します。
総合評価
2025年5月の同社の配当利回り、自己資本比率、株価変動率(3期平均)、時価総額、配当性向、PER(3期平均・業界比)を考慮して算定しています。スコアが0のものは算定不可または業種により算定対象外としています。
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小野薬品工業とは?
小野薬品工業(4528)の特徴まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
業種 | 医薬品(新薬の研究開発型) |
主力製品 | オプジーボ(がん免疫療法薬・免疫チェックポイント阻害剤) |
配当利回り(予想) | 約4.8%(2025年5月時点) |
配当方針 | 安定配当(2024年以降は1株80円を維持予定) |
財務体質 | 自己資本比率75%以上、有利子負債少、現金豊富 |
成長ドライバー | オプジーボの海外売上、新薬(ビムセルチニブなど)の上市 |
株価水準(目安) | 約1,660~1,700円前後(2025年5月時点) |
リスク要因 | 一時的な業績減速(買収費用・研究開発費増)、新薬承認リスク |
投資スタンス | 長期保有向き、配当重視の個人投資家に適するディフェンシブ銘柄 |
小野薬品工業は、大阪市に本社を構える創業75年以上の老舗医薬品メーカーです。
医療用医薬品を中心に、自社開発を重視した研究開発型のビジネスモデルを展開。特に注目されているのが、がん免疫療法のパイオニア的存在となった抗がん剤「オプジーボ(一般名:ニボルマブ)」です。
「オプジーボ」は、免疫チェックポイント阻害剤という新しいメカニズムを用いた画期的な薬で、世界中の製薬業界に衝撃を与えました。米国のブリストル・マイヤーズ スクイブ社と提携し、グローバル市場にも展開中です。
競合は米国のメルク社が販売する『キートルーダ』です。
高配当株としての魅力
小野薬品の注目すべきポイントは「安定した配当」と「堅実な財務」です。以下の点で投資妙味が高いと考えられます。
配当利回り4%台の高水準
2025年5月現在の予想配当利回りは約4.79%。
東証プライム市場の中でも高配当銘柄としてランクインしています。
配当性向と継続性のバランスが良い
業績に対して過剰な配当を出しているわけではなく、財務体質も極めて良好です。
無理のない範囲での安定配当が続いており、長期保有にも適しています。
ここ数年は大幅な減益に転じていますが、好財務であり自己資本比率も70%を超えていることから基盤はかなり強固と考えて良いでしょう。
配当推移と業績の変化
ここで、小野薬品の近年の業績と配当の推移を見てみましょう。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | 1株益 | 1株配当 | 配当性向 |
---|---|---|---|---|---|---|
2022年3月期 | 361,361 | 103,195 | 80,519 | 162.2 | 56 | 34.5% |
2023年3月期 | 447,187 | 141,963 | 112,723 | 230.9 | 70 | 30.3% |
2024年3月期 | 502,672 | 159,935 | 127,977 | 266.6 | 80 | 30.0% |
2025年3月期(会社予想) | 487,000 | 60,000 | 50,000 | 100.3 | 80 | 約79.7% |
※会社四季報には2026年3月期の予想も記載されています。(会社四季報)
2024年3月期までは業績も好調で、売上・利益ともに右肩上がり。配当も増配を重ねており、投資家還元に積極的な姿勢が伺えます。
2025年3月期は薬価低下や開発費用の増加で減収減益となっていますが、2026年3月期はオプジーボのロイヤリティの増加が期待できる可能性があります。
それでも、配当は「据え置き」の80円を維持予定で、企業の還元方針の強さが感じられます。
成長ドライバーは「オプジーボ」と新薬開発
小野薬品の成長を支える主力製品が、免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」です。
この薬は肺がん、胃がん、腎臓がんなど複数のがんに適応され、世界中で使用されています。売上も毎年拡大しており、小野薬品に多大な収益をもたらしています。
また、新薬として「ビムセルチニブ(腱滑膜巨細胞腫向け)」が米国で承認されたことも、今後の成長材料です。最大で4億ドルの売上が期待されています。
財務体質も超優良
医薬品メーカーというと設備投資や研究開発費がかさむイメージもありますが、小野薬品の財務内容は非常に健全です。
指標 | 値 |
---|---|
自己資本比率 | 75% |
有利子負債 | 約1,425億円 |
総資産 | 約1兆823億円 |
1株純資産 | 約1,737円 |
ROE(自己資本利益率) | 16.6% |
自己資本比率75%超というのは、国内上場企業の中でもトップクラス。借金に依存せず、内部留保も潤沢な経営体質です。株主から見ても安心感のある企業といえるでしょう。
株価動向と今後の投資ポイント
2025年5月現在の株価はおよそ1,667円前後。
配当利回りは4.79%と高水準で、特に価格が下がった局面では買い増しを検討したい銘柄です。
今後の注目ポイント
- オプジーボの海外販売動向
- ビムセルチニブなど新薬の市場浸透
- 継続的な配当方針の有無
まとめ|ディフェンシブで高配当、長期保有に適した安心銘柄
小野薬品工業は、「高配当+成長性+財務健全性」を兼ね備えた数少ない医薬品銘柄です。特にがん免疫分野で世界をリードする製品を持つ企業として、業界内での存在感は抜群です。
2025年3月期は一時的な減益予想が出ていますが、今後の新薬や海外展開での巻き返しが期待されます。
安定した配当を求める個人投資家にとって、長期的に保有するのにふさわしい銘柄だと言えるでしょう。
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