この記事では、米国債の基本的な情報と投資方法を解説します。
個人投資家には馴染みが少ない米国債ですが、短期投資と長期投資のどちらにも有効に活用できる投資商品です。
多くの人が「米国債は評価額が変動しない、利子を目的にした安全商品なのでは?」と思っていますが、評価額と利回りが変動する米国債の商品を扱うネット証券も存在します。
つまり米国債を利用して、キャピタルゲイン(差益)を狙うことも可能です。
この記事を読んで頂ければ、米国債の投資に必要な知識を習得して頂けます。
米国債に関する読者の疑問
- 米国債はどこのネット証券で投資できる?
- そもそも米国債とは?
- 米国債に投資する価値は?
一つずつ丁寧に解説していきます。
この記事を書いている人
この記事を書いているIF30の管理人ほろほろ(@investfrom30)は投資歴13年です。
米国株、コモディティ、債券、仮想通貨を中心に長期投資と短期投資を分ける戦略で投資市場に参加しています。現在は約3,700万円を運用しています。
毎日のようにBloombergやWSJなどの投資の有力紙を平均10〜20記事を確認しており、重要なマーケット情報をツイッターやポストプライムで投稿しています。おかげさまで合わせて約3,000人からフォローされています。
投資初心者から中級者向けの失敗しないための投資ロードマップを作成しました。こちらの記事と合わせて活用下さい。
私自身は長期的な安全資産として米国債を保有している一方で、値動きのトレンドに合わせた短期投資にも米国債を活用しています。
その経験から、米国債に投資する価値を解説します。
米国債はどこのネット証券で投資できる?
そもそも米国債はどこで買えるのでしょうか?
米国債を直接トレードする方法はありませんので、先物市場の米国債を利用します。
米国債(先物)に投資するには?
米国債(先物)を取り扱っているネット証券はご覧のとおりです。
既発債の取引はIG証券がおすすめ
先物市場での取引は限月などの複雑な取引があるため、個人投資家でもトレードしやすい、IG証券のCFD(差金決済取引)を活用する方法が良いと思います。
以下のように、債券先物の取引ページから複数の米国債をトレードできます。
CFDは値上りで利益を出す『買いポジション』、反対に値下がりで利益を出す『売りポジション』で取引ができますので、トレードの幅が非常に広がります。
本格的に債券で投資をやっていくなら、IG証券は持っておくと良いと思います。
新発債はSBI証券がおすすめ
額面の変動がない『新発債』はSBI証券で申し込みが開始されることがあります。
ただし、為替の影響は受けるので注意が必要です。
メニューの[債券]から[新発債券]を選択して、申し込みできるものを探しましょう。
国内のネット証券では、新発債の流通量が少ないです。すぐに売り切れる可能性はあります。
米国債とは?
米国債とは、米国財務省が発行する公的な債券(公債)のことです。
『米国財務省証券』や『トレジャリー』と呼ばれることもあります。
米国債は、アメリカ政府の資金不足を補うために発行されることが一般的です。
米国債にはイールドという利子が付与されており、投資家が米国債を購入する動機になっています。
米国債のティッカーシンボル
米国債のシンボルはご覧のとおりです。
TradingViewなどのチャートサービスでは以下のシンボルを入力すると、それぞれの評価額や利回りを表示できます。
- 米国10年国債の金利:US10Y
- 米国10年国債の額面価格:US10
米国債の市場規模
世界各国の債券市場の中でも、米国債の市場規模は最大となっています。
2022年5月の世界の債券市場(国債や社債を含む)は約63兆ドルとされています。
この債券市場の大きさは日々変化していますが、米国の割合はおおよそ40%前後あるとされています。
2020年の世界の債券市場の割合はご覧の通りです。
米国内の債券の30〜40%が米国債と言われていますので、かなり大きいマーケットであることは間違いありません。
推定7.56〜10.08兆ドル(63兆ドル×0.4*0.3~0.4)が米国債のマーケットと考えられます
これは、米国ドルが世界経済の基軸通貨として機能している背景があり、世界中の投資家が米国の債券を投資対象にしていることが理由です。
当然、米国債も例外ではありません。
米国債の種類
米国債にはいくつか種類があり、最もシンプルな区別の方法は年数(満期)です。
- T-BILL(Treasury Bill):満期が1年未満のもの
- T-NOTE(Treasury Note):満期が1年超10年以下のもの
- T-BOND(Treasury Bond):満期10年を超えるもの
この内よく取引されるのは、10年超の長期国債です。
割引債
一般的に1年未満の満期ものは、割引債となっています。
利子はありませんが、額面より安く購入できるため、差額が利子の役割を果たします。
利付債
1年以上の満期のものは、利付債となっています。
そのうちストリップ債は、元本と利札(クーポン)が分離されており、元本部分は利付債の償還日を満期とする割引債、各クーポン部分は支払期日を満期とする割引債として販売されます。
他に、物価上昇率(インフレ率)に合わせて、元本が調整される物価連動債(インフレ債)があります。
このあたりは、すぐに必要な知識ではありませんが、商品を選択する際に疑問に感じるキーワードかと思いますので解説しておきます。
米国債に投資する価値は?
米国債は発行元がアメリカ財務省(政府)となっているため、信頼性が高く、安全資産として知られています。
T-BONDのような長期国債では、1〜3%の利回りがありますので、利子を目的にした資産運用に適した投資商品と言えます。
米国債の取引は2つあります。
- 額面、利回り、満期が事前に設定された米国債を売買する方法
- 先物市場の米国債をトレードする方法
①の方は、利子を目的にしたディフェンシブ(保守的)な資産運用です。
一般的な米国債のイメージはこちらが強いと思います。
また、日本からの直接購入はハードルがあります。
②の方は、米国債の評価額の変動による差益を狙った投資にも価値があります。
評価額の変動とは、金利(利子)の変動により以下のような関係があります。
- 米国債の金利が上がる → 評価額が下がる
- 米国債の金利が下がる → 評価額が上がる
これは各満期の米国債についても同様の現象が発生します。
各米国債の金利は何に影響を受けているか?
満期が短い米2年国債は政策金利(フェデラル・ファンド・レート)の影響を受けやすく、満期の長い米10年国債は将来的なインフレや経済状況の影響を受けやすいと言われています。
連邦準備制度理事会(FRB)は米国の経済を安定させるため、政策金利を調整します。これは短期債に作用しやすいです。
また、FRBはマネタリーベース(世の中のお金の流通量)を米国債の売買を通じて調整します。
経済に刺激を与えたい時には、米国債を次々に発行して買い入れ、市中に現金を投入します。この場合には米国債の金利は下がります。金利が下がることで、企業の借り入れコストが低下するため、企業活動が活発になることを期待したアクションです。
反対に、経済活動が過熱した場合には、米国債を売り戻して、市中の現金を回収します。この場合には米国債の金利は上がります。
次の米国債の投資タイミング
2022年の米国は利上げのタイミングであり、米10年国債などの長期債の評価額が大きく下落しています。
2021年12月頃から米10年国債の利回りが約116%も上昇しています。
しかし、経済状況が悪くなりリセッションが意識されると、利上げペースは減速すると考えられます。
将来的に米10年国債の利回りが下落トレンドになる場合には、評価額は大きく回復するでしょう。
次の利下げのタイミングでは、評価額が大きく回復する可能性があるため、タイミングを見計らえば、米国債に投資する価値は十分にあると思います。