この記事は垂直離着陸機と電気エネルギー飛行で注目されているArcher社について解説をしています。
この記事は以下の資料を参考にまとめています。
- Archer(公式サイト)
- Ken Moelis Follows Jetsons Dream in United-Backed SPAC Deal(Bloomberg)
- Archer Featured Presentation(投資家情報)
この記事はArcher社(ACIC)の紹介が目的であり、投資を推奨するものではありません。
外国株に投資するなら
外国株に投資するなら、証券会社の『手数料の安さ』や『銘柄の供給量』が重要です。
これらの証券会社の口座を持っておけば、IF30で紹介する外国株はほとんどリーチが可能です。お持ちでない場合は検討してみてください。
Archer社(ACIC)の投資情報
まずはArcher(ACIC)がどんな会社なのか見ていきましょう。
Archer社はeVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing)という『電動垂直離着陸機』を開発する米国の飛行機メーカーです。
Archer社の注目ポイントは以下のとおりです。
- 大規模滑走路を必要としない空のタクシー
- 環境に優しい電気エネルギー
大規模滑走路を必要としない空のタクシー
Archer社は『空のタクシー』と称されており、大規模な滑走路を必要とせずに運航できる機体に注目が集まっています。
ロサンゼルスや北京などの混雑する都市を少人数の短距離ライドで解消することが、Archer社の将来的な目標です。
環境に優しい電気エネルギー
駆動源は電気エネルギーを100%使用する設計になっており、CO2ガスの排出をゼロにしている点もクリーンエネルギー時代にマッチしていると考えられます。
1時間で150マイル(約240km)の飛行が可能になるバッテリー技術の開発も期待されています。
SPAC(特別買収目的会社)と合併予定
米国の有名投資銀行家のケン・モエリス氏が率いる特別買収目的会社のAtlas Crest Investmentとの合併を経て間接的に上場を予定しています。ニューヨーク証券取引所に上場するさいの時価総額は38億円(約4000億円)に達する見込みです。ティッカーシンボルはACHRに変更されるようです。
モエリス氏が最初にArcher社を知ったときの感想について、インタビューで以下のように答えています。
The minute I met a company that could make electric vehicle takeoff and landing real, it seemed to me we had a big view into the future.
「最初の電動垂直離着陸機を現実可能にするだろうArcher社に出会った時に、私には将来の大きな展望が見えた」
SPAC上場ってなに?
という場合はこちらの記事をご確認ください。
Archer社(ACIC)が注目される理由
eVTOLを開発するメーカーは世界中にありますが、Archer社が注目される理由は以下のとおりです。
- ユナイテッド航空が投資を予定
- Cathie Wood氏が率いるArk investが保有発表
ユナイテッド航空が投資を予定
ユナイテッド航空はケン・モエリス氏と協業して、Archer社へ2000万ドルの投資を計画していることが分かっています。さらにユナイテッド航空は将来的にArcher社のeVTOLを200機購入する準備ができているとの声明も出しています。
また、脱二酸化炭素が推奨されるグローバル時代に電動飛行技術を開発するArcher社との継続的な協業が期待されています。
自動車メーカーのクライスラーとも製造コストのカットに関する協業をすると発表しています。
世界中にeVTOLを開発する企業はありますが、大手企業と具体的な提携の話を進めているArcher社が注目されているわけです。
Cathie Wood氏が率いるArk investが保有発表
2020年に大きなパフォーマンスを発揮したキャシー・ウッド氏が率いるArk Investが『自動化・ロボティクスETF』のARKQにArcher社を加えたことが話題となっています。
SPAC銘柄は合併予定の発表があると一気に株価が上昇しますが、その後停滞しやすいと言われています。話題(材料)が続かないことが理由ですが、Archer社の場合は合併予定の発表後も材料が定期的に供給されているように思います。
ARK Investとは?
相場に影響を与えることもあるARKについて詳しく知りたい人はこちらの記事をどうぞ。
Archer社(ACIC)のビジネスモデル
Archer社がどのように収益を生み出そうとしているのか解説をします。
Archer社の強みであるurban air mobility( 航空都市輸送システム)のプラットフォーム開発は、モルガン・スタンレーの試算で2040年に最大3兆ドルの市場規模になると予想されています。その中で以下の2つのビジネスが基盤となりそうです。
- 小型機のOEM製造
- ライドシェア
小型機のOEM製造
Archer社の主力ビジネスの一つは、企業に対する小型飛行機のOEM製造です。
先述のとおり、ユナイテッド航空への小型機の販売の可能性があるなど、大手航空会社の提携が期待されています。デリバリーサービス、軍事防衛などが柱になると思われます。
ライドシェア
Uberタクシーなどのライドシェアサービスが普及していますが、Archer社が目指すのは飛行機のライドシェアです。
一般的な飛行機であれば大きな滑走路が必要ですが、垂直離着陸機ならヘリコプターに近い感覚で離着陸が可能になります。つまり、ニューヨークからJFK空港までの短距離フライトをタクシー感覚で利用できるようにすることをゴールとしています。
NY→JFK空港までの所要時間
- Archer:7分
- タクシー:1時間25分
Archer社のライドシェアのコストは?
Uberタクシーを利用するより圧倒的に移動時間を短縮できることは予想できますが、お金持ちが利用するサービスなんでしょ?
と考える人も多いと思いますが、Archer社の構想では利用料金はかなりリーズナブルです。
こちらはマンハッタン(NY)からJFK空港までの料金が示されています。
Uberが76ドル前後に対して、Archerは50ドルとなっています。決して裕福層だけが利用するサービスではないことが分かります。
ライドシェアカーより18倍の収益率
こちらはあくまでもArcher社の試算となります。既存の自動車を利用したライドシェアと比較して、Archer社のライドシェアビジネスは収益性が18倍になるとしています。
移動時間が短縮されるため、一日の稼働回数を増やせることが大きな理由のようです。
計算上はそうだと思いますが、このとおりに運営できるかは少し疑問を感じるところであります。
Archer社(ACIC)の投資注意点
最後にArcher社に投資する際に知っておくべきことを解説します。
Archer社は機体、モーターの開発段階であり実用化には至っていません。また実際の運用を始める前にもFAA(アメリカ連邦航空局)からの承認を得るハードルが存在しています。
結果的に2024年から収益が発生すると予想しており、キャッシュフローが黒字転換するのは2025年と試算されています。つまり、Archer社は中長期目線で投資するべき銘柄であり、同社のスケジュールどおり進むかという保証は一切はありません。
とはいえ、urban air mobility( 航空都市輸送システム)の将来性は大きく、すでにビジネスの陣取り合戦が開始されています。その中で具体的なパートナーが見つかっているArcher社は大きなアドバンテージを持っている可能性があるかと思います。
この記事ではArcher社の基本的な投資情報を記載しています。日々の細かな情報についてはTwitterで更新していますので、フォローしておいてください。
話題の銘柄については情報収集してTwitterでシェアしていますので、米国株に興味がある人はフォローして下さいね!